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文字数 610文字



幼い頃のヒーローは
今も子供たちが夢中で
強くて優しくてカッコいい
ひたむきに真っ直ぐな
その瞳に写る全てを
いつでも一緒に見ていた気がする
そんな三種の神器は
憧れればそれほどに
何処かに遠くに
僕の中から消えて行った
それだけじゃ無くて
2番目3番目…そんな好きなものたち
手を伸ばすモノが
どんどんと霞んで消えていく
何だか僕だけ取り残されていくような
そんな切なさに
潰されないように精一杯
消えていくなら
きっと迎えに来てくれる
そんな儚い願いも
叶うことなく虚無に陥る
赤いヒーローなんて居ない現実に
いつのまにか慣れていた
何でも叶えてくれる魔法
圧倒的な強さを引き出す必殺技
英雄が使ってた伝説の武器
どこにもない
あるのは誰かの作った道くらい
このまま歩いていけば
何もないままラスボスかいる城の前
なのに前に進む理由を
僕は見つけられずにいた
でもヒーローは割と近くにいるんだ
あの人もこの人も
小さな正義をコツコツと積み重ね
ちっともヒーロー顔せずに
楽しみながら誰かのために
魔法も必殺技も武器も持たずに
その後ろ姿は
いつかの僕が憧れた
強さと優しさとかっこよさを
見せびらかしてるわけじゃないのに
意気地無しの僕にも
輝いて眩しすぎるくらい背負ってる
どうやら僕は色んなことを
思い違いしていたらしい
あの正義なら今の僕でも
ほんの少し背伸びすれば
誰かのために立ち止まれたなら
出来ることを背中が教えてくれる
僕の今できることを
歩みがたとえ遅くても
誰かが笑ってくれる
そんなヒーローになりたい



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