文字数 354文字


真夜中の幸せに満ちた
その全ての感情が
朝日と共に連れ去られていく
ここ何日も何日も
幸せな気持ちを朝が奪っていく
その温もりも何もかも
朝は自分じゃないと言い張る
そうやって僕をいそいそと送り出す
気分が沈んだままの匣のなかは
同じ顔した知らない誰かが
自分の小さな居場所を見つけて
気持ちに負けないように踏ん張っている
太陽はほんの少しだけ
やる気を出して覗くから
僕らもなんとか応えながら
今日を駆け抜ける算段を
物知りな小窓に語りかけて
新しい靴を手に入れる
憂鬱と空腹を乗り越えて
僕に残る渇望がまた
新しい幸せを求めて
満ちるまで僕を潤して行く
そしていつしか夢の中へと
僕の全てが落ちて行く
朝がまた幸せの中に埋もれている中から
僕を引き摺り出しては
ほくそ笑むのを僕はただ
甘んじて受け入れてしまうけど
今はもう少しこの微睡の中で
包まれていたいんだ




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