１０

スイカが好きだ
この歌好きだ
あの場所も好きだ
生まれてから今まで
どのくらい何に対して
好きだと言ってきたかわからない
小さい時なら
君が好きだと言うのも
とても簡単でたくさん言ったと思う
でも少しずつ
簡単には言えなくなってきた
食べ物に歌の好みに
あるべき場所に
簡単に言える言葉は
特に君には簡単じゃなくなった
僕はその時だけは臆病だ
永遠の拒絶をされるのか
手を差し出してくれるのか
答えの先にある事に
僕の一歩は重い
友達という冠をつけた好きは
何度も何度も言ったと思う
でもその先の好きはまだ言えていない
君を試すとかしたくないけど
かすり傷以上の怪我をしたら
立ち直れない気がするから
僕は逃げ道をつくりながら
近くをつかず離れず試してる
1番嫌いなことを
今1番好きだから
この気持ちを伝えられるかどうかを
もし届けられなくても
できれば永遠にせめてこの距離で
そんな甘い考えが蔓延る
でもふとした瞬間に
何もかもを忘れて
その愛おしさごと
抱きしめてしまいたくなる
100年後だったら
僕らはもっと気楽に好きを
伝えられたのかな
今までこの世界にどのくらい
消えてなくなった好きがあるんだろう
そしてもしかすると僕の
好きもそんな何かに紛れては
いつか忘れられてしまうのかもしれない
伝えてしまえば壊れてしまうような
伝えなければ消えてしまうような
この好きは儚く脆いから
今日もまたそっと飲み込む