第5話『学年一位』
文字数 434文字
藤井はいつも通りガラッと文芸部室のドアを開けて入ってくるとパイプ椅子に腰を下ろし、鞄の中からスポーツ新聞を取り出してから向かいのパイプに座って本を読んでいる尾崎に言った。
「掲示板見たぞ。お前、マジに勉強できるのな」
「うん、そうだよ。さらに言えば前回の予備校模試でも全国で三十番以内だ。すごいでしょう」と本を読んでいる姿勢のまま尾崎が言った。
「そこは少し謙遜してほしかった。なんでお前みたいなヤツがこんな普通の高校にいるんだよ」
「都内の高校へ通うとなると、父親の所に住むことになるからね。お母さんが許さない」
「今度、俺に勉強を教えてくれない?」と藤井が言った。
本から目を上げると尾崎が言った。
「いいよ。時給七百三十円でどう? 」
「前に俺の小遣いは給料制で時給は四百円だって話はしただろう。差額の三百三十円分はどういう意味だ? 俺から搾取するのか? 」と藤井が言った。
尾崎は眼鏡に手をやりながら言った。
「私と君の客観的な能力の違いと私の優しさのぎりぎりの妥協点だよ」
「掲示板見たぞ。お前、マジに勉強できるのな」
「うん、そうだよ。さらに言えば前回の予備校模試でも全国で三十番以内だ。すごいでしょう」と本を読んでいる姿勢のまま尾崎が言った。
「そこは少し謙遜してほしかった。なんでお前みたいなヤツがこんな普通の高校にいるんだよ」
「都内の高校へ通うとなると、父親の所に住むことになるからね。お母さんが許さない」
「今度、俺に勉強を教えてくれない?」と藤井が言った。
本から目を上げると尾崎が言った。
「いいよ。時給七百三十円でどう? 」
「前に俺の小遣いは給料制で時給は四百円だって話はしただろう。差額の三百三十円分はどういう意味だ? 俺から搾取するのか? 」と藤井が言った。
尾崎は眼鏡に手をやりながら言った。
「私と君の客観的な能力の違いと私の優しさのぎりぎりの妥協点だよ」