第15話 ホメロン
文字数 1,967文字
アウラから、ここがその死の国シェオールであり霊域である事を聞いたユラは何か発見があるかもと森の中を漂っていた。
オーブのような小さな光がかすかに見える。
そのうちの一つの光につられたユラ。
その光を追いかけると泉の前でユラの存在に気付いたのか動きを止める。
明らかに意志を持って動いていた光は一瞬強い光を放つと淡い光を帯びた女性へと姿を変える。
「で、でたぁぁああああああ」
ユラは絶叫しながら木の後ろに隠れる。
「ちょっちひどいじゃないか!せっかく姿を現してやったというのに」
ツインお団子ヘアの少女が腰に手を置き、ほっぺを膨らませながら怒っている。
ユラは慌てた様子で空中で土下座をする。
「ごめんなさい。まさかほんとに幽霊が出るとは思わなくて」
土下座をしたまま少女の元まで滑っていくユラ。
ユラは目を開けると見上げている少女と目が合った。
「土下座って相手よりも頭を下げるためにするものなのだ!私よりも高い位置にいたら意味ないではないか!」
「あれ、思ったよりも小さい」
「小さい言うな!」
慌てた様子で両手で口をふさぐユラに少女は言う。
「もうよい。それよりも我の姿が見えるのか。名を何という」
「はい!名前は忘れてしまって、今はユラという名前をもらったのでユラと名乗っています!」
敬礼するユラは少女を見下ろす。
「我はホメロンだ。なぜ浮けるのだ、っというかなぜ見下ろすのだ!」
ユラはあわてて地面に体を突っ込み敬礼する。
「なぜ、埋まることができるのだ……」
あきれるホメロンは自分の事を説明する。ホメロンはカルクおじさんの孫で、小さいころにこの島で病気で亡くなったようだ。知り合いの前でしか実体化はできず、死んでる者同士でないと声も届かないそうだ。なぜ、ユラの前で実体化できたのかは謎らしい。ユラは自分が幽霊の神だからと説明したが、まったく聞く耳を持ってもらえなかった。
ユラも自分が知ってることをありのままに話した。
その結果、ホメロンはイシアルの親友であり、家族でもあることを知った。
昔、赤子が乗った小さな船がこの島に漂流しているのをカルクおじさんが見つけ育てたらしい。それがイシアルだとホメロンは言っていた。ホメロンもまた、まだ小さいころに両親をアンデットに殺され、カルクおじさんが面倒を見てくれたそうだ。
一緒の家で育った似た境遇のイシアルとホメロンはすぐに仲良くなった。
イシアルがマタダムの目録に目を付けたのは小さいときの好奇心だけじゃない。ホメロンの病を治せるかもと期待したから、生まれた時からあった烙印の意味を知りたかったから。
その結果、禁忌を破った者になってしまった。ただ、まだ幼い好奇心によるもの。むしろマタダムの目録の封印を破った、と魔法使いとしての才能を認めて、彼女を理解するものもある程度いた。
すでにマタダムの目録に対しての信仰心は薄れていた。
そんな中、島の過疎化が、アンデット系の魔物の増加と伴い加速した。イシアルの魔法の才はアンデットの増加により役立ったが、まだ幼い彼女では手に負えないほど悪化していった。そして、島に残る大半が、昔ながらの考えのものになってしまったためイシアルは肩身を狭い思いをするようになった。
そんな時、ホメロンの病状が悪化した。そして、イシアルに告白された。
イシアルは女の子が好きだったことをずっと胸の内に隠していたが、精神的な余裕がなくなり告白したようだった。しかし、当時まだ子供だったホメロンは戸惑い大人に相談してしまった。その結果、噂は広まり彼女は引きこもるようになり、さらにホメロンは病が悪化し病気で亡くなった。
ホメロンはちゃんと返事ができなかったこと、拒絶してしまったことを後悔していると言っていた。
イシアルは今も当時のことを引きずっている。そんなイシアルを救ってあげたい。
ここはアンデットにとって住みやすい環境だからこそ、邪悪な魔物も集まってくる。イシアルはリントブルムにその魔物を近づけさせないためにここで暮らして、悪い魔物は払っていた。ただこの島は地盤沈下が進んでいていずれ沈んでしまう。
その影響か、かなり危険な魔族も最近現れたようでイシアルが心配だとホメロンは言っていた。
ずっと反省し、届かない声をかけながらイシアルを見守っていたホメロンは私の分まで生きてほしいと願っていた。
ユラはホメロンを偉いねと言って頭を撫でた。
触れることができる事にホメロンは始め驚いていたが、次第に嬉しそうに笑っていた。
どうやらホメロンは褒められる事がとっても嬉しいようだ。
この魂の泉の上でしか実体を保てないようで、何とかしてイシアルに見せると宣言したユラはホメロンに別れを告げる。
ホメロンは小さな光に戻った。
ユラはこのことを伝えるためにアウラの元に戻る。
オーブのような小さな光がかすかに見える。
そのうちの一つの光につられたユラ。
その光を追いかけると泉の前でユラの存在に気付いたのか動きを止める。
明らかに意志を持って動いていた光は一瞬強い光を放つと淡い光を帯びた女性へと姿を変える。
「で、でたぁぁああああああ」
ユラは絶叫しながら木の後ろに隠れる。
「ちょっちひどいじゃないか!せっかく姿を現してやったというのに」
ツインお団子ヘアの少女が腰に手を置き、ほっぺを膨らませながら怒っている。
ユラは慌てた様子で空中で土下座をする。
「ごめんなさい。まさかほんとに幽霊が出るとは思わなくて」
土下座をしたまま少女の元まで滑っていくユラ。
ユラは目を開けると見上げている少女と目が合った。
「土下座って相手よりも頭を下げるためにするものなのだ!私よりも高い位置にいたら意味ないではないか!」
「あれ、思ったよりも小さい」
「小さい言うな!」
慌てた様子で両手で口をふさぐユラに少女は言う。
「もうよい。それよりも我の姿が見えるのか。名を何という」
「はい!名前は忘れてしまって、今はユラという名前をもらったのでユラと名乗っています!」
敬礼するユラは少女を見下ろす。
「我はホメロンだ。なぜ浮けるのだ、っというかなぜ見下ろすのだ!」
ユラはあわてて地面に体を突っ込み敬礼する。
「なぜ、埋まることができるのだ……」
あきれるホメロンは自分の事を説明する。ホメロンはカルクおじさんの孫で、小さいころにこの島で病気で亡くなったようだ。知り合いの前でしか実体化はできず、死んでる者同士でないと声も届かないそうだ。なぜ、ユラの前で実体化できたのかは謎らしい。ユラは自分が幽霊の神だからと説明したが、まったく聞く耳を持ってもらえなかった。
ユラも自分が知ってることをありのままに話した。
その結果、ホメロンはイシアルの親友であり、家族でもあることを知った。
昔、赤子が乗った小さな船がこの島に漂流しているのをカルクおじさんが見つけ育てたらしい。それがイシアルだとホメロンは言っていた。ホメロンもまた、まだ小さいころに両親をアンデットに殺され、カルクおじさんが面倒を見てくれたそうだ。
一緒の家で育った似た境遇のイシアルとホメロンはすぐに仲良くなった。
イシアルがマタダムの目録に目を付けたのは小さいときの好奇心だけじゃない。ホメロンの病を治せるかもと期待したから、生まれた時からあった烙印の意味を知りたかったから。
その結果、禁忌を破った者になってしまった。ただ、まだ幼い好奇心によるもの。むしろマタダムの目録の封印を破った、と魔法使いとしての才能を認めて、彼女を理解するものもある程度いた。
すでにマタダムの目録に対しての信仰心は薄れていた。
そんな中、島の過疎化が、アンデット系の魔物の増加と伴い加速した。イシアルの魔法の才はアンデットの増加により役立ったが、まだ幼い彼女では手に負えないほど悪化していった。そして、島に残る大半が、昔ながらの考えのものになってしまったためイシアルは肩身を狭い思いをするようになった。
そんな時、ホメロンの病状が悪化した。そして、イシアルに告白された。
イシアルは女の子が好きだったことをずっと胸の内に隠していたが、精神的な余裕がなくなり告白したようだった。しかし、当時まだ子供だったホメロンは戸惑い大人に相談してしまった。その結果、噂は広まり彼女は引きこもるようになり、さらにホメロンは病が悪化し病気で亡くなった。
ホメロンはちゃんと返事ができなかったこと、拒絶してしまったことを後悔していると言っていた。
イシアルは今も当時のことを引きずっている。そんなイシアルを救ってあげたい。
ここはアンデットにとって住みやすい環境だからこそ、邪悪な魔物も集まってくる。イシアルはリントブルムにその魔物を近づけさせないためにここで暮らして、悪い魔物は払っていた。ただこの島は地盤沈下が進んでいていずれ沈んでしまう。
その影響か、かなり危険な魔族も最近現れたようでイシアルが心配だとホメロンは言っていた。
ずっと反省し、届かない声をかけながらイシアルを見守っていたホメロンは私の分まで生きてほしいと願っていた。
ユラはホメロンを偉いねと言って頭を撫でた。
触れることができる事にホメロンは始め驚いていたが、次第に嬉しそうに笑っていた。
どうやらホメロンは褒められる事がとっても嬉しいようだ。
この魂の泉の上でしか実体を保てないようで、何とかしてイシアルに見せると宣言したユラはホメロンに別れを告げる。
ホメロンは小さな光に戻った。
ユラはこのことを伝えるためにアウラの元に戻る。