神話

文字数 520文字

 ──今から千年前、異界より三柱の神々が降臨した。邪悪なその存在の名は一つとして言い伝えられていない。人間はおろか、創世の三柱にすら理解出来ない異質な言語だったのである。
 この邪悪なる神々の狙いは侵略。彼等は魔獣の軍団を率い、さらには欲深く堕落した者をいかなる欲望も一つだけ叶えてくれる金色の書で次々に味方へ引き入れ、巨大な軍団を結成して創世の三柱に戦いを挑んだ。
 神と神の衝突により大地は割れ、空が濁り、海は枯れた。人と獣は数を減らし、かつて栄えた文明は潰えた。多くの知恵が失われ、技術が衰退し、今もなお完全には取り戻せていない。
 それでも祖先達は諦めなかった。創世の三柱と共に戦い続けた。聖戦は実に百年以上の長きに渡った。
 歴史が今なお続いていることからわかるように、戦いは創世の三柱と人間の勝利で決着。異界の神々は打ち倒されたのだ。

 人々に試練を与える嵐の神オクノク。
 人々を常に慈しむ眼の女神アルトル。
 人々の盾となり守る盾の神テムガム。

 かの三神のおかげで今のこの世界が在り、我々人間は生かされ続けている。ガナン大陸に生きる同胞達よ、今日も感謝の祈りを捧げよう。
 そして願うのだ。今再び訪れたこの苦境から、神がお救い下さることを。
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