10 祟る神と鬼

文字数 847文字

 祟る神、鬼を考えます。佛教以後、祟る神は鬼と呼ばれます。
[鬼]という漢字の原義は死人の霊魂。悪霊も善霊もありません。
 殺めた人、隠した神は祟ります。天災(自然災害)は、殺めた人、隠した神の祟り。噴火、地震、津波、疫病、飢餓、反乱、内乱内戦、政争。
 天災は、見えないモノ、現世(現実)に隠(オ)ぬモノの祟りにより起きる。殺めた、隠した罪悪感、恐怖心が隠ぬモノを創り、隠ぬモノは鬼、鬼神となります。
 隠ぬモノだけでなく、従わないモノ、まつろわぬモノも鬼となります。
 鬼が奉じる神は、鬼神となります。
 見ぬモノ。無視、ハブ、シカト。見ぬモノが逆らいます。脅かします。
 逆らう、脅かす鬼は討たなければなりません。

 有名な鬼は、最古の鬼伝承の、伯耆(伯伎)国の大牛蟹乙牛蟹。桃太郎のモチーフの、吉備国の温羅、丹波国の酒呑童子など。伯耆国、吉備国、丹波国は、渡来人の優れた製鉄技術で大国となり、中央政権(朝廷)を脅かします。
 紀伊半島の熊野の地に、多数の鬼伝承があります。三重県熊野市の、鬼ヶ城の多娥丸。三重県南牟婁郡の、四鬼の窟の四鬼、三重県と滋賀県の県境の、鈴鹿山の鈴鹿姫(鈴鹿御前)、同じく大嶽丸。征夷大将軍として東国平定を行った坂上田村麻呂に討たれます。
 そして西国に西戎の鬼(クマソとハヤト)。東国に東夷の鬼(エミシ)。

 という事で続きます。



 おまけの神社。
 長野県上水内郡にあった鬼無里村に建つ、あまりない白髯神社(長野県長野市鬼無里日影/郷社)。かつて水無瀬村といわれましたが、鬼無里村となります。
 天武天皇の遷都伝承があります。東京(ヒガシキョウ)、西京の整備を行い、東京に加茂神社、西京に春日神社、鬼門に白髯神社を建てたと伝えます。整備中に鬼がじゃましたので討ち、鬼無里村となったといいます。
 また、鬼女の紅葉伝承もあります。紅葉が都を逐われ、移り住み、都を模したと伝えます。また、村人に慕われ、村に鬼は居ないといい、鬼無里村となったといいます。鬼無里村は色々な伝承、史跡があります。
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