第67話 身体強化

文字数 2,073文字

出雲と美桜は雫が作ってくれた弁当を鞄から取り出した。蓮や琴音達も鞄から取り出す。出雲と蓮は大きめの黒色の弁当箱で、美桜達女性陣は小さめの弁当箱であった。色はピンクに白色、緑色と個性が出ていた。

「あ、出雲の弁当と美桜の弁当って中身違うんだね。 雫さんのお手製?」

蓮が出雲と美桜に聞くと、二人はそうだよと声を揃えて言った。出雲の弁当には肉と野菜に白米が入っており、濃い味付けとなっている。逆に美桜の弁当には卵焼きに野菜炒めとウィンナー、少量の白米と量が少なめの弁当となっていた。

蓮は椿に出雲の好きな料理や味付けを聞くといていたので、ちょうどいい機会だと思っていたので聞くことにした。

「出雲は好きな料理とか味付けとかあるの?」

蓮は自然な流れで出雲に聞いた。その質問の意図に気がついた椿は、バッという音が聞こえるくらい素早く出雲の方向を向いた。

「俺は味が濃いものとか麺類やハンバーグとか色々好きだよ。 辛い物だけは食べられないけど」

出雲は弁当を食べながら蓮に言った。すると、蓮が椿の方を向いて小さくサムズアップをした。椿は良くやったとサムズアップを返すと濃いのが好きなんだと出雲に話しかける。

「うん! 漬物とかも濃い味が好きだし、薄味もたまにはいいけど濃い味の料理が食べたって気がして好き!」

椿はうんうんと頷きながら出雲と楽しく話せていることが楽しかった。この時間が永遠と続けばいいのにと考えていると、予鈴鳴った。椿はもうそんなに時間が経ったのと思っていると、弁当も食べ終えていて自身でも驚いていた。

時間を忘れる程に楽しく出雲や美桜達と話しながら昼食を食べていたことが嬉しかった。椿は出雲の好みが分かったので、お菓子作りや料理作りをこれからしていこうと決めた。

昼食後は魔法の授業があるのでクラスメイト達が少しずつ部屋を出ていった。出雲達も制服姿のまま校庭に移動をする。そこでは四月から始まっている魔法の授業の通り、現在も魔力を足や腕に付加をさせて身体能力を戦闘時だけ引き上げる授業を行っていた。

出雲達は固まって教師の説明通りに魔力を付加させていく。蓮や琴音に椿は難なくこなし、自由に身体を動かす練習をしていた。出雲は少し苦戦をしているようで、唸りながら魔力を付加する練習をしていた。

「難しい! 足先にしか魔力が!」

出雲が難しいと言いながら蓮に声をかけると、蓮と椿が二人で出雲のもとに来た。

「まだ出来ないの? この前の授業で教えたじゃない!」

椿が出雲の背中を叩いて言う。蓮は出雲に魔力の操作のことを改めて伝えることにした。

「魔力の操作は身体の奥にある気力を意識して、身体の特定の部位に移動させる感覚だよ」

蓮が出雲に言うと、椿もジェスチャーを交えて説明をし始める。

「魔力の意志を感じて、こうドーン! と身体の奥から意識している身体の部位に魔力を通して、バーン! と爆発させるの!」

椿は出雲に説明をするも、出雲は目を点にして訳が分からないと返した。すると椿は何でよと言って何度も出雲の左肩を軽くぽかぽかと叩いていた。そんな出雲達を美桜が黙って見ていた。美桜は琴音と毎日魔法の様々な授業の時間一緒にいた。

出雲も蓮も椿も美桜と一度も魔法の授業を受けていない。ちなみに、魔法の授業は座学と実技があるのだが、座学の時は教室で受けているので各々一人ずつであるが、実技の時間は教師が言うことを聞いて実際に行う授業が今は主であるのでグループを組んでやるのだが、美桜は必ず実技は琴音と共に練習をしていた。

出雲は蓮にどうして美桜は琴音と毎回二人でしているのと聞いた。すると、出雲に対して蓮は知らないと言った。出雲は何か知ってそうだけどと蓮をジト目で見るが、蓮が知らない方もいいことがあると付け加えて言ってくるので、今はこれ以上は聞けないかと諦めた。

「そっか。 分かった」

出雲がそう言って美桜の方を向くと、身体強化に苦戦をしているようであった。今日だけでなく、明日も明後日も魔法の実技にて身体強化魔法を修得出来ていなかった。

「今日実技テストだけど、美桜大丈夫かな?」

出雲が心配をしていると、美桜と共にいる琴音が心配そうにしている。教師に生徒全員が呼ばれて、修得出来ているか教師が一人ずつ確認をしていく試験をすると言うと、名前順に呼ばれていく。

呼ばれた生徒は、教師の横に立って身体強化魔法を発動出来ているか教師が確認をする。何人か呼ばれて難なく合格をすると、ついに美桜の名前が呼ばれた。

美桜は緊張をした面持ちで前に歩いて行くと、琴音や出雲達が頑張れと応援をしていた。美桜は教師の横に立つと、自身の名前を言った。

「よし、始め!」

美桜は教師の始めという声を聞くと、身体中に魔力を流すために腕や足に力を入れる。しかし、開始から数十秒が経過するも中々身体強化魔法が発動しない。中々発動をしない美桜の魔法を見ている教師や出雲達を含めたクラスメイト達にどよめきが走っていた。
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