第44話 突然の告白

文字数 1,696文字

「私が……私が出雲を支える! 死ぬまで! 一生!」

椿が出雲の鼻先数センチまで迫ってそう宣言をした。出雲はその宣言を聞いて顔を紅く染め上げるも、まだ人生は長いから今決めなくてもと椿を自身かあら遠ざける。

「試験とはいってもあんな風にしてくれる人はいないし、変態だけど格好良かったから、そんな辛い境遇の出雲を毎日笑顔にして一緒に過ごしていきたいと思ったの!」

顔を紅く染めながら言う椿の真剣さを見て、出雲は悩んでしまう。

「まだすぐには答えは出せない。 答えはまだ待ってもらっていい?」

そういう出雲に椿がいいよと言ってくれる。

「でも、待たせ過ぎたら強引に行くからね!」

そう言われて出雲はタジタジになってしまった。

「椿は決めたら一直線だね。 そういうの好きだよ」

そう言われた椿は急に言わないでと叫ぶと出雲の腹部に肘鉄を入れて先に帰ると言って走ってしまう。

「次は学校で会おうね!」

そう言いながら手を出雲に振ると、出雲も地面に膝をつきながら手を振り返していた。

「見えなくなった……お腹痛い……力意外と強いよ……」

それから五分程痛みで動けなかったが、次第に痛みが引いて動けるようになっていた。立ち上がると腰に差しているあの不思議な剣を触ると、身体全体が温かくなっているような感覚がした。

「この剣は不思議だな。 名前何て言うんだろう」

出雲はそう一人で考えながら駅に入りホームに着いた。その時ふと出雲は剣を持ってていいのかと周囲を見渡すと、出雲の剣を見る目が不審者を見る目であった。

「やっぱり持ってちゃいけないんだ! どうやってしまえばいいんだ!」

出雲があたふたと鞄に入らないか試していると、スマートフォンにメールが届いた音が鳴った。出雲はこんな時に何とメールを見ると、それは椿からであった。

「誰も手にしたことがない剣に自身の魔力を流すと腕輪や指輪になって持ち運べる?」

出雲は先に言ってよと落胆をすると、剣の鞘を掴んで自身の魔力を流す。すると、剣全体が淡い光を放つと出雲の左手首に金色の細い腕輪として変化した。

「本当に変化した! 俺は腕輪か、結構格好いい!」

出雲は自身の左腕に装着された腕輪を掴んだり撫でたりしているとあっという間に電車が到着した。出雲は乗らなきゃと思いすぐに乗ると、周囲の人からは変な目で見られることはなくなった。

「あやうく捕まるところだった……椿に感謝だ!」

出雲はそう言いながら椿にメールを打つことにした。

「さっきはありがとう。 剣が変化して、助かったよっと……」

出雲は打つ内容を口にしながらメールを打っていく。

「また学校で会おうね。 一緒に試験を過ごせてよかったっと」

出雲はそう内容を打ってメールを送信した。出雲はメールの送信後はゆっくりと電車に乗って帰路についていた。試験疲れや椿の別れ際での会話などがあり、疲れがドッと出ていた。帰りの電車の中で椅子に座れた出雲は、ウトウトとしてしまう。

出雲は熟睡をしてしまい、乗り換える駅になるまで寝ていた。乗り換える駅の手前まで寝ていると身体がビクっとなり出雲は目が覚めた。

「こ、ここはどこだ!? あ、降りる前か……凄い寝てたな……」

出雲は欠伸をすると乗り換える駅に到着したので電車を降りた。そして、再度電車に乗って最寄り駅に到着した。駅に到着をすると、出雲は美桜にメールを打って到着したことを伝える。すると、すぐに美桜から電話がかかってきた。

「あ、美桜ー? 今駅に着いたよー」

出雲がそう言うと、晩御飯が出来てるからすぐに帰ってきなさいと言われた。

「ありがとう! 凄い疲れたよー」

出雲がそう言うと、美桜がお疲れ様といつもの綺麗な声で言ってくれる。出雲はその美桜の声を聞くと、疲れが吹っ飛ぶような感覚だった。

「ありがとう! すぐに帰るよ!」

出雲は美桜の声を聞いた途端に元気が湧いてきて、足早に家に帰っていく。駅から走ってすぐに家の前に到着をすると、息を整えてから玄関の扉の横に付いているベルが鳴るボタンを押す。
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