第71話 根拠
文字数 2,049文字
食堂に入ってきたのは美桜であった。先ほどまでの思いつめた顔とは違い、ラフな部屋着に着替えていた。美桜は夕食を食べに来ていたようで、出雲が雫と話していた時間が長時間だったことが美桜が来たことで察することが出来た。
「そこで雫に会ったけど、二人で何か話してたの?」
美桜が椅子に座りながら出雲に話しかけると、出雲がただの世間話だよと返した。すると、美桜はそうと一言だけ言って晩御飯まだかしらと呟きながらスマートフォンを操作していた。
「ただの世間話で雫があそこまで思い詰めた顔をするかしら」
スマートフォンを見ながら呟く美桜の言葉が出雲に聞こえた。出雲は不振がってると思うも、このままやり過ごそうと決めた。
「何かあったのかな? 一緒にいた時は普通にしてたけどな?」
そう言った出雲に美桜がそうなんだと返した。それから食堂に沈黙が流れて数十分が経過すると、使用人の人達が料理を作り始めた。
「美桜様、もう少々お待ちください」
その言葉と共に料理を作る音が大きくなっていく。晩御飯はハンバーグなようで、その肉と調味料の美味しい匂いが美桜と出雲の鼻に入ってくる。
「美味しそうな匂い! 私の好きなハンバーグだわ!」
美桜が喜んでいると、使用人の人がお待たせしましたと美桜と出雲の前にハンバーグと白米を持ってきた。ハンバーグにはタレがかけられており、ブロッコリーやイチョウ切りされたニンジンが添えられていた。料理が置かれたことで、美桜と出雲は料理を食べ始めた。食事中は楽しく食べていたが、出雲にはどこか楽しみ切れない気持ちで一杯だった。
「ハンバーグ美味しいわね。 ずっとこんな日々が続けばいいのに」
そう呟く美桜に、出雲が続くよと答える。美桜はその言葉に根拠はあるのと突っ込んで聞いてきた。
「根拠はって……そんなのはないけど……」
その出雲の言葉に美桜が根拠がなければ一緒にはずっといられないわよと食べながら言う。
「ずっと一緒にいる根拠か……」
出雲の呟きに美桜がも子供じゃいられないのと言って部屋を出ていこうとする。それを見た出雲は慌てて立ち上がって、美桜と名前を叫ぶ。
「なに? まだなにかあるの?」
そう言いながら出雲の方を振り向く美桜。出雲は何か言葉を言おうとするも、美桜を納得させる言葉が上手く出てこなかった。
「何もないなら戻るわね。 さようなら」
さようなら。そう言った美桜の言葉を意味が理解出来なかった出雲は、また明日と返答をするも、美桜は返事をせずに食堂を出ていった。出雲はまだ食べ終えていないので、一人で食べ進めて食べ終えた食器類を奥にいる使用人の人達に渡して、肩を落としながら自室に戻った。
出雲は、煮え切れないと考えて悩みながらベットに入るとそのまま寝てしまった。寝ている最中に夢を見た。それは美桜がいつのまにか自身の側からいなくなり、辛い毎日を過ごすという夢であった。出雲は遠くか眺めるしかなく、助ける勇気がない眼に光がなく気力もない無気力状態であった。
出雲はガバっとベットから起きると、寝汗をかいていて変な夢を見たと呟いていた。ベットから出て汗を拭こうとタンスからタオルを出そうとすると、部屋の扉が勢いよく開いた。部屋に入ってきたのは雫であり、その息は走って来てたのか乱れていた。雫は扉前で息を整えると、出雲に美桜様がいませんと言った。出雲はその言葉を聞くと、すぐに部屋を出て美桜の部屋に向かった。
美桜の部屋に到着をして扉を開けると、そこには家具やタンスなど美桜の生活用品が何一つない空っぽの部屋となっていた。ただ、部屋の中心に美桜と共に買った特別なフィギュアだけが置かれていた。
「なんでだよ……なんで急に……」
出雲がフィギュアの前で座り込むと、フィギュアの台座の下に一枚の紙が挟んであることに気がついた。
「これは、手紙?」
出雲が手紙を開くと、そこには美桜の字でごめんねとだけ書かれていた。出雲はどうしてこんなことをと落胆すると、雫が部屋に入って来て夜中に荷物を全部持って皇家に移動をしたみたいですと、監視カメラで撮影をした写真を持ってきて出雲に言った。
「カメラを凝視しているから、撮影されていたのに気がついているんだ……」
美桜がすんなり父親の命令に従っているから、何か考えているのだと思っていたが手紙が来た翌日に移動をしているので、ただ従っただけなのではとも思ってしまう。
「雫さん。 俺は美桜を救いたい」
そう言いながら扉の側にいる雫の眼を見て言う。雫は昨日と同じように救える根拠はと聞いた。出雲は雫にそう問われると、今度は戸惑うことなく根拠はありませんと返す。
「根拠云々ではありません。 美桜は父親に疎まれ、殺されそうになりながらも協力はあるにせよアルバイトをしたり自分だけで生きていこうとしていると俺には見えました!」
出雲はこの美桜と会ってからの生活で感じたことを雫に伝えていく。
「そこで雫に会ったけど、二人で何か話してたの?」
美桜が椅子に座りながら出雲に話しかけると、出雲がただの世間話だよと返した。すると、美桜はそうと一言だけ言って晩御飯まだかしらと呟きながらスマートフォンを操作していた。
「ただの世間話で雫があそこまで思い詰めた顔をするかしら」
スマートフォンを見ながら呟く美桜の言葉が出雲に聞こえた。出雲は不振がってると思うも、このままやり過ごそうと決めた。
「何かあったのかな? 一緒にいた時は普通にしてたけどな?」
そう言った出雲に美桜がそうなんだと返した。それから食堂に沈黙が流れて数十分が経過すると、使用人の人達が料理を作り始めた。
「美桜様、もう少々お待ちください」
その言葉と共に料理を作る音が大きくなっていく。晩御飯はハンバーグなようで、その肉と調味料の美味しい匂いが美桜と出雲の鼻に入ってくる。
「美味しそうな匂い! 私の好きなハンバーグだわ!」
美桜が喜んでいると、使用人の人がお待たせしましたと美桜と出雲の前にハンバーグと白米を持ってきた。ハンバーグにはタレがかけられており、ブロッコリーやイチョウ切りされたニンジンが添えられていた。料理が置かれたことで、美桜と出雲は料理を食べ始めた。食事中は楽しく食べていたが、出雲にはどこか楽しみ切れない気持ちで一杯だった。
「ハンバーグ美味しいわね。 ずっとこんな日々が続けばいいのに」
そう呟く美桜に、出雲が続くよと答える。美桜はその言葉に根拠はあるのと突っ込んで聞いてきた。
「根拠はって……そんなのはないけど……」
その出雲の言葉に美桜が根拠がなければ一緒にはずっといられないわよと食べながら言う。
「ずっと一緒にいる根拠か……」
出雲の呟きに美桜がも子供じゃいられないのと言って部屋を出ていこうとする。それを見た出雲は慌てて立ち上がって、美桜と名前を叫ぶ。
「なに? まだなにかあるの?」
そう言いながら出雲の方を振り向く美桜。出雲は何か言葉を言おうとするも、美桜を納得させる言葉が上手く出てこなかった。
「何もないなら戻るわね。 さようなら」
さようなら。そう言った美桜の言葉を意味が理解出来なかった出雲は、また明日と返答をするも、美桜は返事をせずに食堂を出ていった。出雲はまだ食べ終えていないので、一人で食べ進めて食べ終えた食器類を奥にいる使用人の人達に渡して、肩を落としながら自室に戻った。
出雲は、煮え切れないと考えて悩みながらベットに入るとそのまま寝てしまった。寝ている最中に夢を見た。それは美桜がいつのまにか自身の側からいなくなり、辛い毎日を過ごすという夢であった。出雲は遠くか眺めるしかなく、助ける勇気がない眼に光がなく気力もない無気力状態であった。
出雲はガバっとベットから起きると、寝汗をかいていて変な夢を見たと呟いていた。ベットから出て汗を拭こうとタンスからタオルを出そうとすると、部屋の扉が勢いよく開いた。部屋に入ってきたのは雫であり、その息は走って来てたのか乱れていた。雫は扉前で息を整えると、出雲に美桜様がいませんと言った。出雲はその言葉を聞くと、すぐに部屋を出て美桜の部屋に向かった。
美桜の部屋に到着をして扉を開けると、そこには家具やタンスなど美桜の生活用品が何一つない空っぽの部屋となっていた。ただ、部屋の中心に美桜と共に買った特別なフィギュアだけが置かれていた。
「なんでだよ……なんで急に……」
出雲がフィギュアの前で座り込むと、フィギュアの台座の下に一枚の紙が挟んであることに気がついた。
「これは、手紙?」
出雲が手紙を開くと、そこには美桜の字でごめんねとだけ書かれていた。出雲はどうしてこんなことをと落胆すると、雫が部屋に入って来て夜中に荷物を全部持って皇家に移動をしたみたいですと、監視カメラで撮影をした写真を持ってきて出雲に言った。
「カメラを凝視しているから、撮影されていたのに気がついているんだ……」
美桜がすんなり父親の命令に従っているから、何か考えているのだと思っていたが手紙が来た翌日に移動をしているので、ただ従っただけなのではとも思ってしまう。
「雫さん。 俺は美桜を救いたい」
そう言いながら扉の側にいる雫の眼を見て言う。雫は昨日と同じように救える根拠はと聞いた。出雲は雫にそう問われると、今度は戸惑うことなく根拠はありませんと返す。
「根拠云々ではありません。 美桜は父親に疎まれ、殺されそうになりながらも協力はあるにせよアルバイトをしたり自分だけで生きていこうとしていると俺には見えました!」
出雲はこの美桜と会ってからの生活で感じたことを雫に伝えていく。