第81話 篁一家

文字数 1,857文字

美桜が明臣に自身と似た感情を感じていると、雫から連絡が入った。美桜は来たと叫び、すぐに通話に出た。

「到着した!?」

美桜がそう聞くと、雫は玄関前にいますと返答した。美桜と明臣は小走りで玄関口に向かった。明臣はやっとマリアに会える感動から心臓の鼓動が早くなっていた。美桜はとうとう篁家に会えることや、マリアに会える楽しみでウキウキとしていた。

「やっと会えるわね! 明臣は言った通りにしてよね!」

そう言われた明臣は分かってますと言うと、玄関前に到着をした。玄関前では明臣は、何度も深呼吸をしていた。

「もうすぐそこにいるんだから、緊張しないで笑顔で迎え入れてあげなさい」

美桜のその言葉を聞いた明臣は、美桜の顔を見て決意をした顔をした。

「行ってきます!」

明臣はその言葉と共に玄関の扉を開けた。すると、明臣の目の前に篁一家がいた。明臣から見て右側に父親、左側に母親がいた。マリアはその二人の後ろに立っていた。

マリアの父親は黒髪の白髪交じりの短髪で目元に皺が多くあり、頬が多少こけていた。標準より痩せ型の体型をしていて身長は百七十センチと見える。母親は茶髪の腰にかかるまでの長さの長髪をしており、優しい眼もとと目鼻立ちがハッキリしている優しい印象を受ける顔をしている。美桜ほどではないがスタイルが良く見え、身長は美桜より少し大きいと見える。

そして、明臣の好きなマリアを美桜は見た。マリアは薄い茶色の髪色で肩を少し超す長さをし、前髪は眉毛にかかる長さをしている。そして、母親同様に目鼻立ちがハッキリとしているようである。

マリアの目元からは優しい印象を受け、全てを許して包んでくれると思ってしまう。また、マリアは美桜に負けず劣らずのスタイルをしており、着ている白いTシャツから強調している胸元と履いている黒色の半ズボンから見える細長いその足がマリアの色気を強調していた。

明臣はマリアと数秒見つめ合うと、二人はお互いに駆けだして両親がいる前で抱き合った。その姿を見たマリアの父親と母親は驚いていた。美桜は突然抱き合った姿を見て、お互いにそれほどまでに好きなんだねと思っていた。

「二人はそんなに愛し合っているのに、無理して離れる必要はないですよ」

美桜がマリアに話しかけると、マリアが私の家には借金がと話し始めた。その言葉を聞いた美桜は微笑をすると、マリアの父親が何かおかしいかなと美桜に話しかけた。

「既に篁家の借金は私と兄と姉達が返済済みです。 なので、今の篁家は自由です!」

美桜がそう言うと、マリアの父と母が再度驚いた顔をしていた。

「あの多額の借金を返済したの!?」

マリアの母親が美桜に聞くと、美桜はそうですと返答した。

「子供に肩代わりしてもらって悪い気しかしないが、今はありがとうと言わせてくれ」

マリアの父親が美桜に感謝の言葉を言うと、美桜は私自身と明臣のためですと返答をした。

「私と明臣の婚約が私のお父様に仕組まれたもので、篁家の借金は私と明臣を結婚させて、天神家の位を上げるためだったのです」

そう美桜が説明をすると、篁家が全員まさかといった顔をしていた。すると、マリアの後ろにいた雫が詳しい話は私がしますと言って食堂の場所を明臣に聞いて三人を連れて行った。明臣は私も行きますと言って雫達を追いかけていった。美桜はちゃんと実行してくれるのかと不安になるも、今は明臣を信じるしかないかと思った。

「私も食堂に行こうかしら」

美桜がそう呟くと、スマートフォンから誰かが電話をかけてきた音がした。美桜はこんな時に誰よと思いながらスマートフォンの画面を見ると、その画面には出雲の名前が表示されていた。

美桜は出雲から電話だと喜んだが、今はそれどころじゃないと思ったのか通話に出ることはなかった。美桜の気持ちとは裏腹に、出雲は美桜に何かがあったのではないかと不安で不安で仕方がなかった。

出雲のそんな気持ちには気がついていない美桜は、出雲は何をしているのかなと微笑みながら食堂に向かった。

食堂では既に雫と明臣が二人で篁家に説明を終えていた。美桜が食堂に入ると、雫と明臣が説明は終わったと美桜に言う。美桜はお疲れさまと言い、どこまで説明をしたのと雫に話しかけた。

「はい。 借金の問題の解決と篁家の陥れた弦十郎様のことや、皇明臣様と美桜様の婚約が仕組まれたことです」

美桜はほぼ全部言っているわねと思うと、雫の隣に座って美桜は話し始めた。
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