第63話 勉強会

文字数 1,768文字

美桜はスマートフォンを取り出して、メールを打ちだした。突然メールを打ちだした美桜に出雲がどうしたのと聞くと、美桜が出雲のためにしているのよとスマートフォンの方を見ながら言う。

「今日学校が終わったら! 家で! 小テスト対策勉強会よ!」

美桜が出雲に向けて宣言をした。出雲はありがとうと喜ぶと、誰が来るのと聞く。すると、美桜は蓮達いつものメンバーよと返事をした。

「やった! 皆で勉強会なんて、楽しみだな!」

出雲は喜びながら早く放課後にならないかなと楽しみにしていた。学校に到着をすると挨拶をして蓮達と楽しく話して、授業を受けて放課後になった。部活動は出雲達は未だ決めていないので、蓮達と共に美桜の家に移動をした。

「たっだいまー」

出雲が玄関を開けてそう言うと、雫が小走りで迎えに来てくれた。

「お帰りなさい! お疲れでしょうから、少し休んでください」

雫がそう言うと、出雲の後ろから蓮達が入ってきた。蓮達を見た雫は何かするんですかと玄関に入ってきた美桜に聞く。

「あ、連絡し忘れてたけど出雲の小テスト対策で皆で勉強会をするの!」

雫は美桜にそう聞かされると、すぐにお菓子を作りますと意気込んで厨房の方に駆け足で行った。椿はその様子を見ていて、お菓子作れるの凄いなと雫に羨望の眼差しを送っていた。その椿の眼差しに気がついた琴音は、椿にお菓子作りしたいのと聞いた。すると椿は、料理とかお菓子作りをしたことがないからと話していた。

「私料理好きだから、今度一緒に作りましょう!」

琴音が椿の両手を掴んで言うと、椿はありがとうと言って楽しみだわと喜んでいた。蓮はそんな二人に話しかけて、俺も協力するよと言った。蓮達三人は家に上がりながら話している。

「出雲に作ってあげるんだろ? あいつの好みは俺がよく知っているから教えてあげるよ」

蓮は小声で椿に耳打ちをする。蓮のその言葉を聞いた椿は蓮の右腕を掴んでよろしく頼むわと必死な眼差しで見つめていた。

「お、おう……この一か月あまり進展なかったもんな。 応援するぜ!」

蓮は任せとけと言って椿に向けてサムズアップをした。琴音は蓮に話しかけると、あまり美桜の邪魔をしちゃダメよと蓮に耳打ちをする。

「分かってるよ。 極端なことはしないさ」

無邪気な笑顔で琴音に言う蓮に、大丈夫かなと心配をする琴音であった。そんな計画があるとは知らない出雲と美桜は勉強の話をしながら美桜の部屋へと向かっていた。

勉強会は初めは出雲の部屋と決めていたが、広さや勉強道具の多さから美桜の部屋ですることに変更となっていた。

「さ、小型の机を持ってきているから床に座って皆で小テスト対策をしましょう!」

美桜がそう言うと、出雲達はやろうと腕を宙に上げて意気込んだ。美桜は小学校と中学校の魔法史の教科書を取り出して、初めから出雲に教えることにした。出雲は小テストの範囲の高等学校の魔法史の教科書を開いている。

「魔法史が全然分からない! 何これ!?」

出雲は暗号の如く訳の分からない単語や文章が並んでいるので、目が回ってしまう。蓮達は各々でノートに書いて覚えたり暗鬼をするために文章を読んだりしている。

出雲は美桜に小学校の魔法史から教わっており、分からない所は質問をしていた。椿は琴音と勉強をしながら美桜と楽しそうに勉強をしている出雲をチラチラと見ていた。

「出雲君が気になる?」

椿の視線に気がついた琴音が、椿に気になるのと話しかける。椿ははっとした表情をして琴音の方を向いた。

「な、何も見ていないわよ! 出雲のことなんて見ていないよ!」

その言葉を聞いた琴音は、出雲君とは一言も言っていないよと椿をからかっていた。蓮はその二人に集中しないと覚えられないぞと注意をしていた。琴音と椿ははーいと言って勉強を再開した。

勉強を始めてから一時間半が経過すると、部屋の扉がノックされた。美桜は入って良いわよと言って扉を開けさせる。その扉を開けたのは雫であり、その後ろに使用人の女性が一人付き添っていた。

「勉強お疲れ様です。 小腹が空いたかと思いまして、お菓子をお持ちしました」

そう言って雫と使用人の女性は、飲み物と雫お手製のマカロンを空いている机の上に置いた。
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