線路

文字数 368文字

月の光は穏やかに線路のホームを照らしていた
視線は僕に飛び込めばと笑う
まぁそうかもしれない
狂った夏の風は
消えていくのが自然なのかもしれない
僕自身、この線路が
全て消し去ってしまえばいいと
今は思っている
消えかかった意識は
いっそのこと早く訪れてくれれば
僕は草木となることができる
歪んだ夜の街灯の光は
まだこの街に降り注いでいた
憎まれて見下されるとは
なかなか切ない響きを持つ
どこかで聞いたピアノの音が
全てを溶解していくようだ
また朝が来れば
僕はカーテンを開けている
その時、何を感じるのだろう
結局、僕は終電間近の電車に乗って
住んでいるマンションに向かった
現実はずっとわからないまま
季節が変わっていく
夏の風は熱気と湿気をまとっていた
泣くのに疲れたら
突っ切ればいいのだ
開き直るとは
まぁそれも悪くない
線路はずっと遠くまで続いている
無数の嘘と計画が脳裏に浮かぶ
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