八月の夜

文字数 324文字

夢を見ていた遠い夏の
妄想は炸裂して恥をかいた一人で
逆さまに散らばった星たちの
声の響きは切なく蘇る
遠い景色が揺らめいて宝石の中
死への期待とお前への
残像は殺意を帯び始めて
結局どこへ行くのか
刑務所の中にある思い出
限りない負の連鎖が続く
広がっていく景色の中には
夢が落ち着いていた気がする
もはやそこに何もないことを
わかっていたからこそ
あの日々を越えようとしていた
なくしたものは何かを得て
雨のように滴り落ちる
描いた新世界の夢は
今はもう何もなくなっていた
手探りで歩いた道は
汚れて笑われたものに
つながる影の記憶
思い出すのは八月の夜で
あの人はそういう想像の中で
息をしていたのかもしれない
感覚はただ揺らめいて
歪んでいく気がした
あの日見た光景はいつも
悲しみをまとっている
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