花火

文字数 295文字

河原に咲く小さな花が
夜の風に揺れている
浴衣を着ているあなたの目は
少しだけ傷ついているようにも見えた
色取り取りの花火が
轟音と共に空にはじけ
消えていった
僕は視線を空に向けて
花火の気持ちになった
あなたは微笑んでいた
それはどこかに僕の知らない感情を
含んでいたのかもしれない
僕らはぎこちなく話をしながら
それぞれの思いを抱えていた
花火が終わると人々は去っていった
僕らはそこに取り残されたように
あなたは地面にしゃがみ込んで
小さな花を摘んだ
記憶の中に花火の情景は残り続け
あなたの微笑みも忘れることはないだろう
川の流れる音が聞こえる
涼しい風に体を包み込まれる
もう少しここにいたいと思えるなら
それだけでよかった
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