夏の夜の川

文字数 244文字

失ったものは
夜の目の前の暗闇の
淀んだ川に沈んでいった
追憶はあなたの横顔を
ぼんやりと川の水面に映す
街灯の光が
まばらに闇を照らす
探していたものは
辺りに霧散して
夜空の星みたいだ
消えかかった残像を拭い去ろうと
僕は河原の道を歩き続けた
あなたは今どこにいて
何をしているのか
時々、思い出すことがある
僕が果てに着いた時
また会えたら
その時は少しだけ正直になろうと思う
川の水の音が響く
時間はまるで
ここから立ち去ったように
ありきたりな空間が広がる
その時、吹いた涼しい夏の風に
昔の情景の影が
一瞬、浮かんでは消えた
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