季節の終わり

文字数 329文字

それは八月の終わりだった
季節は移り変わろうとしていた
午後のいくらか涼し気な空気が
どこまでも続いていた
あなたの横顔が
町を歩く僕の記憶の中に
ぼんやりと蘇ってくる
悲しみは時期に過ぎ去り
また新たな季節が到来する
過ぎていく時間の中で
気が付くと夕日が世界を覆っていた
あなたと歩いた夏の野原が
今はもう悲しく思わなかった
様々な感情がぶつかり
困惑していたけれど
ようやく居場所を見つけたかのように
全ては元に戻ろうとしていた
家々の屋根が遠くまで続いている
その中にいるのは
いったい誰なのだろう
今はもうあなたのことしか
脳裏に浮かばなかった
日が沈んでいく
それは夏の終わりを示唆していた
だから僕は歩いて行った
来年はもっと美しい風景が
この世界に訪れると信じて
蘇りつつある
過去の日々を追憶した
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