草原

文字数 262文字

草原の中に
白い花が揺れていて
太陽の光が
沈黙を照らしている
物寂しい風景の中を
一匹の飼い犬が駆けていった
気が付いてみれば
レジャーシートを敷いた家族や
若いカップルや子供たちが
草原の上にいたけれど
緑色の木々の葉や
雑草しか
視界の中にはなかった
辺りの風景は
少しずつではあるが変化していた
気が付くと
自分もその風景の一部のように
曖昧な存在に変わっていった
手に持ったコーヒーの
氷はすでに溶けて
薄い甘い味がした
いつだったか見た光景が
日が沈んでいく世界と
記憶の中で混じり合って
少しだけ目に涙が滲んだ
理由はわからない
その中に誰も知っている人はいない
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