祭り

文字数 334文字

神社の境内の赤い光が
失われつつある記憶をぼんやりと呼び覚ます
あなたは確かにその場所にいたはずだが
時間が経ってみれば
結局、僕らはまた新たな場所にいるのかもしれない
提灯の赤い光が
どこまでも続いているかのように
人々の話し声は
繰り返し耳から入ってくる
通り過ぎていく人々の中に
あなたの面影を探している
空には星が輝き
淡い光を放つ月が浮かんでいた
太鼓の音がせわしなく響き
夏の夜の涼しい風が吹いていた
僕はあの日を回想し
どこへも行けなかった場所で
何を考えていたのか
思い出そうとしていた
テーブルの上の静寂が
未だに世界を包み込んでいる
その日々がぼんやりと
今という瞬間を形成しているように
消滅したものは
また新たなものを生み出すのかもしれない
夜の間、祭りは続いた
僕は友人と高台で会い
境内を歩いた

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み