第10話 油断
文字数 1,994文字
一
「先ほどから避けてばかりですよ」
糸音は針の弾丸に当てられていた。
「そうでも無いさ」
糸音にとってはこれ程の相手との戦闘は久方ぶりだった。最初は慣れずに避けるので手一杯だったが今は
「!?」
フィは避けながら迫りくる糸音に動揺した。そして鳩尾目掛けて迫る糸音の拳をギリギリのところで受け止める、が糸音はすかさず片手で拳打の雨を打ち、トドメと言わんはがりの蹴りでフィを吹っ飛ばした!
「ッッ!油断してしまいました。」
「さっきのお返し」
「なるほど。なら私もさっきのお返しです」
糸音は足に痛みを感じ、見てみると針が刺さっていた。
「一つ聞かせてください。何故それ程の実力を持っていて弱者を救わないのです?」
「弱者とは何のことかわからないが、困ってる人や助けを求める人を救うことはしていくつもりだが」
「そうですか。なら好都合、どうです?我々の仲間になりませんか?」
「ごめんだね。この先のことはわからないし、自分が何をしたいのかもわからない、だけど少なくとも今は自分の居場所を守るため、友人と呼んでくれた友のためそして保護してくれた兄さんに恩を返すため、学園を守ることを選ぶよ。だからお前たち悪者になる気はないよ」
「そうですか、残念です。我々は悪者ではありませんよ。これは偽りの正義を振りかざす夕凪家への粛清です」
「偽りの正義?」
(たしか、仮面の女もそんな事を言っていたか)
フィは唐突に針を懐にしまいだした。
糸音は相手の戦意が無くなったことを感じ
「何をしている?まだ終わってないぞ」
「いいえ、終わりです」
「なんだと。ッッ!」
糸音は急な脱力感に襲われその場に倒れる。
「君の敗因は私が針を使う拳法家であると勘違いしたことだ、私の本当の武器は
街で遭遇した奴とグルなら、こいつもただの拳法家や殺し屋ではないことを考えるべきだった。それに針と毒は表裏一体であることも
「お・・わりか」
「最後にチャンスをあげましょう。我々と共に来るのなら救いましょう」
「ごめんだ・・ね」
糸音は目を閉じた。
「残念です。貴女の様な信念を強く持った人は好きでしたよ、さようなら」
ニ
「ようやく着いたな」
槍士はやっとのことで真宵の幽閉されている扉の前にやってきた。
「それにしてもやっぱアレを使うと気力ってか、なんか持っていかれるんだよな、もっと力つけねぇとな」
そう言って扉を開けると
誰も居なかった。
「間違えたか、いやしかしこの部屋は」
部屋には誰もいなかったが椅子と縄が転がっていた、たしかに誰かがいた気配はある。そしておそらく窓があった場所であろう所には扉と同じくらいの大きさの穴が空いていた。槍士がそこから下を覗くと
「なるほど」
この大穴の原因がわかった槍士はため息をつき
「こりゃあ大変だが、まぁ真宵なら安心だな」
下には見知らぬ死体が落ちていた。
三
「おーい、どこかな譲葉ちゃん」
女は本棚周辺に隠れたであろう譲葉を探して、かれこれ一時間はたっていた。
「そろそろかな、さてと」
ドーン!
ドーン!ドーン!
女は鼻歌を歌いながら本棚をドミノ倒しの容量で倒していく。そして全部倒した後、本の中から譲葉が這い出てくる。
「ゴホ!ゴホ!」
「あらー、ごめんね譲葉ちゃん。埃っぽいもんねここ、安心して殺さないから。ちょーと連れて行くだけだから」
譲葉に近づく女はスンデのところで横から飛んできた弾丸を避ける。そして暗闇の中に人影が現れて、女に襲いかかる。
「あらあら、あ・ぶ・ない・よっと!」
軽快に避ける女、そして動きが止まり月の光に当てられ、ようやくその姿が現れる。
「兄さん!」
「すまないユズ。もう大丈夫だ!」
「あれ?真宵君じゃん、あれ?あれ?捕まってなかったけ?」
「その、俺を捕まえた奴は殺しておいた。後はお前を殺す。その前に聞かせろ誰の差し金だ?」
「そりゃあ言えないでしょ。企業秘密だよっと」
「ふん、まぁ聞かなくても察しはつくがな。俺たちは帰らないぞ」
「そうは言っても依頼は依頼だしね」
「なら、殺すまでだ!」
真宵はすかさず女との間合いを詰める。持っていた銃と拳打の連続技が女に炸裂するが女はこれを軽々受ける。
「いい動きだね。でも」
「ッッ!!」
真宵は一瞬の隙をつかれて膝をつく。
「兄さん!!」
「大、丈夫だ」
「さっすがお兄ちゃん、カッコいいね!」
「まだまだこれからだぜ、女!」
「いいね!」
暗闇の中で飛び散る硝煙と拳打のぶつかる音は続く。
「どうせ、
女は笑いながら踊る。
「先ほどから避けてばかりですよ」
糸音は針の弾丸に当てられていた。
「そうでも無いさ」
糸音にとってはこれ程の相手との戦闘は久方ぶりだった。最初は慣れずに避けるので手一杯だったが今は
「!?」
フィは避けながら迫りくる糸音に動揺した。そして鳩尾目掛けて迫る糸音の拳をギリギリのところで受け止める、が糸音はすかさず片手で拳打の雨を打ち、トドメと言わんはがりの蹴りでフィを吹っ飛ばした!
「ッッ!油断してしまいました。」
「さっきのお返し」
「なるほど。なら私もさっきのお返しです」
糸音は足に痛みを感じ、見てみると針が刺さっていた。
「一つ聞かせてください。何故それ程の実力を持っていて弱者を救わないのです?」
「弱者とは何のことかわからないが、困ってる人や助けを求める人を救うことはしていくつもりだが」
「そうですか。なら好都合、どうです?我々の仲間になりませんか?」
「ごめんだね。この先のことはわからないし、自分が何をしたいのかもわからない、だけど少なくとも今は自分の居場所を守るため、友人と呼んでくれた友のためそして保護してくれた兄さんに恩を返すため、学園を守ることを選ぶよ。だからお前たち悪者になる気はないよ」
「そうですか、残念です。我々は悪者ではありませんよ。これは偽りの正義を振りかざす夕凪家への粛清です」
「偽りの正義?」
(たしか、仮面の女もそんな事を言っていたか)
フィは唐突に針を懐にしまいだした。
糸音は相手の戦意が無くなったことを感じ
「何をしている?まだ終わってないぞ」
「いいえ、終わりです」
「なんだと。ッッ!」
糸音は急な脱力感に襲われその場に倒れる。
「君の敗因は私が針を使う拳法家であると勘違いしたことだ、私の本当の武器は
毒
ですよ。知っているかもしれませんが街で会ったであろう未凪の者には毒を持たせましたが、これはそれより数倍上の効果がある毒です。喰らって数秒で即死のはずですがかなりもってる方ですね、やはりすごい」街で遭遇した奴とグルなら、こいつもただの拳法家や殺し屋ではないことを考えるべきだった。それに針と毒は表裏一体であることも
知っていた
はずなのに自分の強さに過信していた。「お・・わりか」
「最後にチャンスをあげましょう。我々と共に来るのなら救いましょう」
「ごめんだ・・ね」
糸音は目を閉じた。
「残念です。貴女の様な信念を強く持った人は好きでしたよ、さようなら」
ニ
「ようやく着いたな」
槍士はやっとのことで真宵の幽閉されている扉の前にやってきた。
「それにしてもやっぱアレを使うと気力ってか、なんか持っていかれるんだよな、もっと力つけねぇとな」
そう言って扉を開けると
誰も居なかった。
「間違えたか、いやしかしこの部屋は」
部屋には誰もいなかったが椅子と縄が転がっていた、たしかに誰かがいた気配はある。そしておそらく窓があった場所であろう所には扉と同じくらいの大きさの穴が空いていた。槍士がそこから下を覗くと
「なるほど」
この大穴の原因がわかった槍士はため息をつき
「こりゃあ大変だが、まぁ真宵なら安心だな」
下には見知らぬ死体が落ちていた。
三
「おーい、どこかな譲葉ちゃん」
女は本棚周辺に隠れたであろう譲葉を探して、かれこれ一時間はたっていた。
「そろそろかな、さてと」
ドーン!
ドーン!ドーン!
女は鼻歌を歌いながら本棚をドミノ倒しの容量で倒していく。そして全部倒した後、本の中から譲葉が這い出てくる。
「ゴホ!ゴホ!」
「あらー、ごめんね譲葉ちゃん。埃っぽいもんねここ、安心して殺さないから。ちょーと連れて行くだけだから」
譲葉に近づく女はスンデのところで横から飛んできた弾丸を避ける。そして暗闇の中に人影が現れて、女に襲いかかる。
「あらあら、あ・ぶ・ない・よっと!」
軽快に避ける女、そして動きが止まり月の光に当てられ、ようやくその姿が現れる。
「兄さん!」
「すまないユズ。もう大丈夫だ!」
「あれ?真宵君じゃん、あれ?あれ?捕まってなかったけ?」
「その、俺を捕まえた奴は殺しておいた。後はお前を殺す。その前に聞かせろ誰の差し金だ?」
「そりゃあ言えないでしょ。企業秘密だよっと」
「ふん、まぁ聞かなくても察しはつくがな。俺たちは帰らないぞ」
「そうは言っても依頼は依頼だしね」
「なら、殺すまでだ!」
真宵はすかさず女との間合いを詰める。持っていた銃と拳打の連続技が女に炸裂するが女はこれを軽々受ける。
「いい動きだね。でも」
「ッッ!!」
真宵は一瞬の隙をつかれて膝をつく。
「兄さん!!」
「大、丈夫だ」
「さっすがお兄ちゃん、カッコいいね!」
「まだまだこれからだぜ、女!」
「いいね!」
暗闇の中で飛び散る硝煙と拳打のぶつかる音は続く。
「どうせ、
時間かせぎ
なんだから、目一杯楽しもう!」女は笑いながら踊る。