第105話 引っ越し
文字数 1,852文字
夜中にようやく洋館へと戻ってくると、紅羽は糸音を自室のベッドへと運んだ。帰って来るや否や、椿は泣きながら糸音に呼びかけていた、また自分のせいで、と言いながら目を閉じている糸音に謝っていた。ミナモが落ち着かせる為、椿を部屋へと連れていき寝かしつけた。紅羽はリビングのソファで横になる。
「はぁ、一体なんなんだ」
「なぁ、糸音はあれから殺しをしていたのか?」
「ん?唐突になんだ。まぁ、椿とずっと遊んでるからそれは無いと思うぜ」
「そうか」
「おいおい、どうしたんだよ。何か関係があるのか?」
「いや、ほら前に言っただろ。糸音の中に何かあるって」
「あー、言ってたな」
「それが何かはわからんが。もし今日の事がそれと関係しているとしたら」
「おい、まさか、、糸音は人間じゃねぇってことか?吸血鬼とかそういうのか?」
「いいや、吸血鬼ではないよ。でも、あれは吸血鬼以上の何かだよ。最初に糸音に会った時は気づかなかったが吸血鬼になって人間じゃ無くなって、そういうものとの区別がわかるようになったんだ」
「糸音は人間だよ、紛れもなくな。それとも何か、お前は糸音が人間じゃないならどうするってんだ?殺すのか?」
「ばか、何故そうなる。糸音の中に眠る何かを出さなければいいんだよ。要は死を賭けた戦いを避けるんだよ」
「そうすれば糸音は大丈夫なんだな?」
「あぁ、確証はないがな」
「わかった。糸音にはもう戦わせねぇよ」
「すまないな」
「わかってるよ。お前は自分の国の事をしろ、糸音は責任を持って俺が見るよ」
次の日の早朝、糸音は自室のベッドで目を覚ました。
「!?」
飛び起きるが糸音はすぐに我に帰る。
「どうなったんだ、たしか、熊に殺されそうになって、それから、、」
糸音は自分の体を見る、服は着替えさせられていて折れたであろう腕は完全に回復していた、それどころか傷が一つも無かった。
「どうなっている、、」
コン!コン!
ノックが鳴り部屋へと入ってきたのはミナモだった。
「ミナモさん、、私は、、」
「おはようございます。糸音さんは紅羽様が運んできました。ボロボロになった服は捨ててしまいました。着替えは私がやりましたのでどうかご安心を」
「そうか、、ありがとう」
糸音はゆっくりとベッドから立ち上がり、扉へと向かって歩いた。廊下へ出ると椿が居た。
「糸音、ごめんね」
椿は糸音へと飛びつくとそのまま泣き出した。
「本当にごめんなさい、、ごめん、、ごめん、、」
「いいんだ、とりあえず立てるか?」
糸音は椿を宥めると立ち上がらせて杖を握らせる。
「あとは私が」
「すまない、ミナモさん」
椿をミナモに任せて階段を降りてリビングへと向かう。
「糸音!もう起きて大丈夫なのか?」
紅羽は糸音の姿を確認すると飛び起きた。
「あぁ、心配かけてな」
「全く無茶しやがって、一体何があった?」
「おいおい、まずは椅子に座って落ち着いて話そう」
ルクスリアが茶を持ってキッチンから出てくる。
「ルクスリア、ごめん」
「あぁ、無事で何よりだ」
三人は椅子へと座るとルクスリアがヘイオーから持ってきた茶を入れて二人に配る。
「さぁ飲め、温まるぞ」
「ありがとう」
一息ついて、三人はお互い顔を見合わせる。
「糸音、昨日何があったのか覚えているか?」
「あぁ」
糸音は昨日あった事を自分の意識がなくなるところまでを話し始めた。
「なるほどな、殺し屋か。糸音が夕凪家という情報は漏れていたみたいだな。だとするとここにいるのはまずいかもしれねぇな」
「なぁ、二人とも提案なんだが、私の国に来ないか?」
「まじか、でもよー、椿が」
「私は大丈夫だよ」
いつの間にか扉の近くにはミナモと椿が居た。
「椿、いつから。それに大丈夫ってお前、」
「心配しすぎ兄さん、私は皆んなで平和に暮らせるならどこだって大丈夫だよ」
「私も特には、紅呂家に御使いする身、ならばどこへでもついて行きます」
「二人はどうだ?」
「私はいいよ」
「はぁ、よし!じゃあ皆んなでヘイオーへお引越しだな!」
「おー!ってその前に兄さん!ルクスリアさんの歓迎会、今からしようよ!」
「今からか!?」
「いいじゃん、私のせいで昨日はおじゃんになっちゃったし」
「私も構わない」
「では、準備いたします」
「じゃあやるか!」
かくしてルクスリアの歓迎会は朝に開かれる事となった。ひとしきり騒いだ後、夜には荷物をまとめ始めた一行、そして翌日の朝、早々に船でヘイオーへと向かった。
「はぁ、一体なんなんだ」
「なぁ、糸音はあれから殺しをしていたのか?」
「ん?唐突になんだ。まぁ、椿とずっと遊んでるからそれは無いと思うぜ」
「そうか」
「おいおい、どうしたんだよ。何か関係があるのか?」
「いや、ほら前に言っただろ。糸音の中に何かあるって」
「あー、言ってたな」
「それが何かはわからんが。もし今日の事がそれと関係しているとしたら」
「おい、まさか、、糸音は人間じゃねぇってことか?吸血鬼とかそういうのか?」
「いいや、吸血鬼ではないよ。でも、あれは吸血鬼以上の何かだよ。最初に糸音に会った時は気づかなかったが吸血鬼になって人間じゃ無くなって、そういうものとの区別がわかるようになったんだ」
「糸音は人間だよ、紛れもなくな。それとも何か、お前は糸音が人間じゃないならどうするってんだ?殺すのか?」
「ばか、何故そうなる。糸音の中に眠る何かを出さなければいいんだよ。要は死を賭けた戦いを避けるんだよ」
「そうすれば糸音は大丈夫なんだな?」
「あぁ、確証はないがな」
「わかった。糸音にはもう戦わせねぇよ」
「すまないな」
「わかってるよ。お前は自分の国の事をしろ、糸音は責任を持って俺が見るよ」
次の日の早朝、糸音は自室のベッドで目を覚ました。
「!?」
飛び起きるが糸音はすぐに我に帰る。
「どうなったんだ、たしか、熊に殺されそうになって、それから、、」
糸音は自分の体を見る、服は着替えさせられていて折れたであろう腕は完全に回復していた、それどころか傷が一つも無かった。
「どうなっている、、」
コン!コン!
ノックが鳴り部屋へと入ってきたのはミナモだった。
「ミナモさん、、私は、、」
「おはようございます。糸音さんは紅羽様が運んできました。ボロボロになった服は捨ててしまいました。着替えは私がやりましたのでどうかご安心を」
「そうか、、ありがとう」
糸音はゆっくりとベッドから立ち上がり、扉へと向かって歩いた。廊下へ出ると椿が居た。
「糸音、ごめんね」
椿は糸音へと飛びつくとそのまま泣き出した。
「本当にごめんなさい、、ごめん、、ごめん、、」
「いいんだ、とりあえず立てるか?」
糸音は椿を宥めると立ち上がらせて杖を握らせる。
「あとは私が」
「すまない、ミナモさん」
椿をミナモに任せて階段を降りてリビングへと向かう。
「糸音!もう起きて大丈夫なのか?」
紅羽は糸音の姿を確認すると飛び起きた。
「あぁ、心配かけてな」
「全く無茶しやがって、一体何があった?」
「おいおい、まずは椅子に座って落ち着いて話そう」
ルクスリアが茶を持ってキッチンから出てくる。
「ルクスリア、ごめん」
「あぁ、無事で何よりだ」
三人は椅子へと座るとルクスリアがヘイオーから持ってきた茶を入れて二人に配る。
「さぁ飲め、温まるぞ」
「ありがとう」
一息ついて、三人はお互い顔を見合わせる。
「糸音、昨日何があったのか覚えているか?」
「あぁ」
糸音は昨日あった事を自分の意識がなくなるところまでを話し始めた。
「なるほどな、殺し屋か。糸音が夕凪家という情報は漏れていたみたいだな。だとするとここにいるのはまずいかもしれねぇな」
「なぁ、二人とも提案なんだが、私の国に来ないか?」
「まじか、でもよー、椿が」
「私は大丈夫だよ」
いつの間にか扉の近くにはミナモと椿が居た。
「椿、いつから。それに大丈夫ってお前、」
「心配しすぎ兄さん、私は皆んなで平和に暮らせるならどこだって大丈夫だよ」
「私も特には、紅呂家に御使いする身、ならばどこへでもついて行きます」
「二人はどうだ?」
「私はいいよ」
「はぁ、よし!じゃあ皆んなでヘイオーへお引越しだな!」
「おー!ってその前に兄さん!ルクスリアさんの歓迎会、今からしようよ!」
「今からか!?」
「いいじゃん、私のせいで昨日はおじゃんになっちゃったし」
「私も構わない」
「では、準備いたします」
「じゃあやるか!」
かくしてルクスリアの歓迎会は朝に開かれる事となった。ひとしきり騒いだ後、夜には荷物をまとめ始めた一行、そして翌日の朝、早々に船でヘイオーへと向かった。