第88話 選択
文字数 1,754文字
一
「いったん落ち着け!」
子供は紅羽へ向かって何度も爆弾を抱えて走り、その度に死んでは生き返っている。
(この子供、眷属崩れなのか?、、いや眷属崩れなら理性は無いはず、ならこれはなんだ)
「?」
さっきまで走り回っていた子供がピタリと動きを止めるとその場に倒れる。
「おい!大丈夫か?」
紅羽が近づくと子供は紅羽に向かって手を伸ばし紅羽の足に子供の手が刺さっていた。
「くっ!」
紅羽は子供を引き離すと、後方へ下がる。
紅羽は足に傷を負い、膝をつく。
「ぐぁぁぁぁ!」
子供の目は正気を失い、爪が鋭く鋭利なものになっていた。
「吸血鬼化か」
紅羽は迫り来る子供の攻撃をかろうじて交わしながら後方へ下がっていく。
(こんな子供にも、、なんて野郎だ、、しかし何故、急に吸血鬼化したんだ、それまでは普通に会話ができたはず、、吸血鬼化のスピードは人それぞれなのか?)
「やむを得ん」
紅羽は子供を牢屋へ誘導すると、蹴りを入れて牢屋にぶち込んで、そのまま鍵をかけた。
「ごめんな、そこで大人しくしていてくれ。それにしてもゲス野郎だなジャックってのは」
紅羽は元来た道を引き返す。
二
糸音は何もない通路をひたすら進んでいた。
「なんだ、何もないな」
一番奥の扉に辿り着き開け放つと、そこは大きなエントランスがあった。そして、その奥にジャックとルクスリアが居た。
「やぁ、やっと会えたな夕凪糸音」
「お前がジャックか、私と戦いたいならこんなくだらん真似はせずに正面から来い」
「私は悲劇が喜劇が惨劇が見たいのです。そしてあなたはどうなるのでしょうね」
「何をわけがわからない事を言っている。おかしなやつだな」
糸音がジャックに距離を詰めようと一歩出ると柱の影から眷属崩れ達がぞろぞろと出てきて糸音の行手を阻む。
「めんどうだな」
「夕凪糸音!これを見ろ」
「!?」
ジャックの方を見るとルクスリアの横にいつの間にか子供が鎖に繋がれていた。そしてその子供には見覚えがあった、ここに来た時に家へ招き入れてくれた子供の一人であった。
「何のつもりだ」
「さぁ、始めましょうか」
ジャックは懐から赤い注射器を取り出すとルクスリアに注入し始めた。
「くっ!」
「おい!何してる!」
「これは吸血鬼の血です、そして、こちらにも」
ジャックは子供にも同じ注射器を取り出して注入する。そして、数秒後二人は糸音に襲いかかってきた。
「なんて事だ、くそ!」
「これを見ろ!」
ジャックは懐からさっきとは別の緑の注射器を取り出すとそれを糸音に見せつける。
「これは吸血鬼化の進行を抑える薬だ。残念だがこれ一本しかない、ということはわかるな?」
「ゲス野郎が!」
糸音は二人を糸で捕らえ、残りの眷属崩れ達を殺していく。
「時間稼ぎだな。そうだな、後10分もすれば完全に吸血鬼化して元には戻らないだろうな」
「くっ!」
数秒後、眷属崩れ達は糸音一人によって秒殺された。
「当たりは糸音か」
「おっと、残りの方もご到着ですかな」
糸音が入ってきた入り口を見ると詩織と紅羽がこちらへ向かって歩いてきた。
「どうなっている糸音」
「ごめん、ルクスリアが吸血鬼化された、子供もだ。薬があるらしいがそれはジャックが持っている」
「とりあえずこの二人は任せろ」
「さぁ、私を倒さないと薬は手に入りませんよ」
「わかってるよ」
糸音は一瞬でジャックに間合いを詰める針剣で攻撃を仕掛け、それをジャックはナイフで応戦する。
「別に私は弱くないですからね、私も吸血鬼ですからね!」
針剣がジャックの手のひらに刺さるがそのまま糸音の手を掴むと壁まで投げ飛ばした。
「おやおや」
飛ばされた瞬間、詩織がクナイをジャックに投擲していた、しかしそれを容易く避けるジャック。
「詩織!」
糸音の掛け声で詩織は横へ移動すると、ジャックの直線上を音波が駆け巡り、ジャックへ命中する。ジャックは弾けたがすぐに再生して一瞬で詩織との間合いを詰めて腕を折ると壁まで投げ飛ばす。次の瞬間、糸音の目前に迫ってきたジャックは拳を糸音の腹に叩き込む。
「さぁさぁ、時間がありませんよ」
「まじかよ、、」
紅羽は呆然とした。それもそのはず、強いと思っていた、この二人が一瞬でやられてしまったのだから。
「いったん落ち着け!」
子供は紅羽へ向かって何度も爆弾を抱えて走り、その度に死んでは生き返っている。
(この子供、眷属崩れなのか?、、いや眷属崩れなら理性は無いはず、ならこれはなんだ)
「?」
さっきまで走り回っていた子供がピタリと動きを止めるとその場に倒れる。
「おい!大丈夫か?」
紅羽が近づくと子供は紅羽に向かって手を伸ばし紅羽の足に子供の手が刺さっていた。
「くっ!」
紅羽は子供を引き離すと、後方へ下がる。
紅羽は足に傷を負い、膝をつく。
「ぐぁぁぁぁ!」
子供の目は正気を失い、爪が鋭く鋭利なものになっていた。
「吸血鬼化か」
紅羽は迫り来る子供の攻撃をかろうじて交わしながら後方へ下がっていく。
(こんな子供にも、、なんて野郎だ、、しかし何故、急に吸血鬼化したんだ、それまでは普通に会話ができたはず、、吸血鬼化のスピードは人それぞれなのか?)
「やむを得ん」
紅羽は子供を牢屋へ誘導すると、蹴りを入れて牢屋にぶち込んで、そのまま鍵をかけた。
「ごめんな、そこで大人しくしていてくれ。それにしてもゲス野郎だなジャックってのは」
紅羽は元来た道を引き返す。
二
糸音は何もない通路をひたすら進んでいた。
「なんだ、何もないな」
一番奥の扉に辿り着き開け放つと、そこは大きなエントランスがあった。そして、その奥にジャックとルクスリアが居た。
「やぁ、やっと会えたな夕凪糸音」
「お前がジャックか、私と戦いたいならこんなくだらん真似はせずに正面から来い」
「私は悲劇が喜劇が惨劇が見たいのです。そしてあなたはどうなるのでしょうね」
「何をわけがわからない事を言っている。おかしなやつだな」
糸音がジャックに距離を詰めようと一歩出ると柱の影から眷属崩れ達がぞろぞろと出てきて糸音の行手を阻む。
「めんどうだな」
「夕凪糸音!これを見ろ」
「!?」
ジャックの方を見るとルクスリアの横にいつの間にか子供が鎖に繋がれていた。そしてその子供には見覚えがあった、ここに来た時に家へ招き入れてくれた子供の一人であった。
「何のつもりだ」
「さぁ、始めましょうか」
ジャックは懐から赤い注射器を取り出すとルクスリアに注入し始めた。
「くっ!」
「おい!何してる!」
「これは吸血鬼の血です、そして、こちらにも」
ジャックは子供にも同じ注射器を取り出して注入する。そして、数秒後二人は糸音に襲いかかってきた。
「なんて事だ、くそ!」
「これを見ろ!」
ジャックは懐からさっきとは別の緑の注射器を取り出すとそれを糸音に見せつける。
「これは吸血鬼化の進行を抑える薬だ。残念だがこれ一本しかない、ということはわかるな?」
「ゲス野郎が!」
糸音は二人を糸で捕らえ、残りの眷属崩れ達を殺していく。
「時間稼ぎだな。そうだな、後10分もすれば完全に吸血鬼化して元には戻らないだろうな」
「くっ!」
数秒後、眷属崩れ達は糸音一人によって秒殺された。
「当たりは糸音か」
「おっと、残りの方もご到着ですかな」
糸音が入ってきた入り口を見ると詩織と紅羽がこちらへ向かって歩いてきた。
「どうなっている糸音」
「ごめん、ルクスリアが吸血鬼化された、子供もだ。薬があるらしいがそれはジャックが持っている」
「とりあえずこの二人は任せろ」
「さぁ、私を倒さないと薬は手に入りませんよ」
「わかってるよ」
糸音は一瞬でジャックに間合いを詰める針剣で攻撃を仕掛け、それをジャックはナイフで応戦する。
「別に私は弱くないですからね、私も吸血鬼ですからね!」
針剣がジャックの手のひらに刺さるがそのまま糸音の手を掴むと壁まで投げ飛ばした。
「おやおや」
飛ばされた瞬間、詩織がクナイをジャックに投擲していた、しかしそれを容易く避けるジャック。
「詩織!」
糸音の掛け声で詩織は横へ移動すると、ジャックの直線上を音波が駆け巡り、ジャックへ命中する。ジャックは弾けたがすぐに再生して一瞬で詩織との間合いを詰めて腕を折ると壁まで投げ飛ばす。次の瞬間、糸音の目前に迫ってきたジャックは拳を糸音の腹に叩き込む。
「さぁさぁ、時間がありませんよ」
「まじかよ、、」
紅羽は呆然とした。それもそのはず、強いと思っていた、この二人が一瞬でやられてしまったのだから。