第50話 傷跡
文字数 2,239文字
一
メイは森の奥で暴れていた、木や竹を殴り電撃を放ち、そこらを荒らし自分を傷つけていた。
「メイ、こんなところにいたんですの」
「なんや、涼香さんか」
「はぁ、こんなに荒らして」
見るとそこかしこに木々や竹が倒れ散乱していた。
「うちは、、、弱い」
メイはあの戦いの後ずっと考えていた。涼香からルカの死を伝えられ、遊から糸音の事を伝えられ、どうしたらいいかわからなくなっていた。
「あなたせいではありませんよ」
「うちや!!!うちが弱いせいで、ルカは!、、、うちが殺したも同然や。それに何が、早くやっつけて駆けつけるや、ダサすぎるやろ、、」
「ルミさんは、おそらく私たちを恨んでいるでしょう。そして必ず相対する時が来る。あなたはどうしますか?メイ、今のままでずっとここに、この望める森で何も望まないまま自暴自棄になりますか」
「なぁ、、、涼香さん、うちは、、強くなれるんかな?」
メイは空を見上げて涼香に問う。
「それはあなた次第ですよ」
「ふふ、厳しいな涼香さんは、、、なぁ涼香さん、ちょっとだけお願いやねんけど。少しだけ一人にしてくれへん」
「では、数分そのへんにいます」
「ありがとう、、」
涼香が去ったのを確認すると、メイは肩を震わせて泣いた。これでもかと言うくらい泣いた、泣いて、泣いて、泣いて、枯れるくらい泣いた。久しぶりに泣いた。
二
「そいじゃまた明日な、真宵」
「はい」
槍士は真宵より一足先に退院することとなった。
病室を出ると夕凪家専属医のエオールがいた。
「やぁ、槍士君。君の回復力には感服だよ」
「いや、エオールさんのおかげですよ!あ、今度お礼にごはん奢りますよ!」
「ふっふ、若い子に誘われるのは悪くない気分だね。そのうちこちらからまた誘うよ」
「まじですか!じゃあ、待ってます、俺」
「それはそうと槍士君、君はまた戦場に立つのかい?」
「そうですね、俺には守らないといけないものがありますから」
「そうか、ならもっと強くならないとね。また怪我をしたらいつでも来なさい。また診てあげるから」
「はい!では失礼します」
槍士は走り去っていく。
「病院では走ってはダメなんだよ槍士君」
槍士が病院から出ると、咲夜遊が待っていた。
「体調はどうだ?槍士」
「バリバリ元気っすよ!」
「そりゃいいな。なら早速だが、お前を鍛える」
「あら、まじですか!遊さん直々にご指導を」
「残念、俺ではない」
「なーんだ、で誰ですか?」
「朝霜蘇匁亜だ」
その名を聞いた槍士は顔色を変えて歩き出す。
「俺は帰りませんよ」
「待てよ、槍士、逃げるのか」
槍士が足を止めてしかめっ面で振り向くと
「逃げてませんよ」
「それは逃げだぞ槍士、今のお前を次の戦場に連れては行けないな。弱いからだ、そんなんじゃいずれ自信の武具に呑まれるぞ」
「、、、、、」
「だんまりか、二日待ってやる。二日で答えを出すんだな。もし答えが出なかったら、学園でお留守番だな」
槍士は何も言わずに歩きだした。
三
真宵は病室から、外を眺めていた。
「綺麗な夕日だな」
コン、コン!
ノックがなり病室の扉が開けられる、そこに居たのは遊だった。
「こんにちは、遊さん」
「あぁ、大丈夫か?」
「俺はあんまりひどい傷じゃないんで、なんなら槍士先輩の方が大変なのに、あの人の方が退院が早いんですから面白いですよね」
「そうだな。槍士はバカだから治りが早いんだろ。それで話なんだが、、」
「俺はまだまだ弱いです」
真宵は遊の言葉を遮り話始める。
「夜月の力を使うのは俺にとって忌むべき事なんですが、今回それを使いました。遊さんの言う通りですね、使えるものは使う、その上で勝つ、、でもあの時、俺は動けませんでした。そして神無さんが攫われてしまいました。一緒にいた時間は短かったんですが、きっといい友達になれますよ」
「そうだな、なら私たちを利用してもっと強くなれ。そして神無とメル友になってやってくれ。彼女を夜月や宗谷から奪還しようじゃないか。」
「はい。それで遊さん、さっきから扉の向こうに誰か居ますけど、あれは誰ですか?」
「さすがだな、動物の勘なのか。紹介しよう、お前を鍛えてくれる教官だ。入ってこい」
言われて入ってきたのは、教官というにはまだ幼い金髪の少年だった。
真宵は少し驚いたが静かに笑う。
「久しぶり、白斗」
「お、おう、久しぶりだな真宵」
「やはり二人は知り合いか」
「なんだ、赤女、知ってやがったのか」
「いいや、六花を必要以上に追いかけるなんて夜月か俺たち以外いないと思ってな。それと赤女じゃなくて咲夜遊だ」
「はぁ、で約束通り真宵の特訓に付き合えばいいんだな」
「そうだな、というかえらく素直だな。俺が頼んで連れてくる時めちゃくちゃ嫌がっていたのによ」
「そりゃあ!、、まさか知っているやつとは思わなかったんだよ」
「ま、いいけどよ。後は頼んだぞ、白斗くん」
「あっ!おい!」
遊は早々に病室を去った。
残された二人に静寂が訪れる。最初に口を開いたのは白斗だった。
「あ、ユズはどうしてる?ここにいるってことは
「うん、今は一緒に夕ヶ丘学園に住んでる。今度会ってやってよ、きっとユズも喜ぶから」
「そうか、良かった」
一旦、話が終わり、また静寂が訪れる。
「あー、そうだ。俺もう行くわ!まぁ、明日から特訓だからよろしくな」
「あ、うん!ありがとう白斗」
「良かった、、、」
白斗は病室を去って行った。
メイは森の奥で暴れていた、木や竹を殴り電撃を放ち、そこらを荒らし自分を傷つけていた。
「メイ、こんなところにいたんですの」
「なんや、涼香さんか」
「はぁ、こんなに荒らして」
見るとそこかしこに木々や竹が倒れ散乱していた。
「うちは、、、弱い」
メイはあの戦いの後ずっと考えていた。涼香からルカの死を伝えられ、遊から糸音の事を伝えられ、どうしたらいいかわからなくなっていた。
「あなたせいではありませんよ」
「うちや!!!うちが弱いせいで、ルカは!、、、うちが殺したも同然や。それに何が、早くやっつけて駆けつけるや、ダサすぎるやろ、、」
「ルミさんは、おそらく私たちを恨んでいるでしょう。そして必ず相対する時が来る。あなたはどうしますか?メイ、今のままでずっとここに、この望める森で何も望まないまま自暴自棄になりますか」
「なぁ、、、涼香さん、うちは、、強くなれるんかな?」
メイは空を見上げて涼香に問う。
「それはあなた次第ですよ」
「ふふ、厳しいな涼香さんは、、、なぁ涼香さん、ちょっとだけお願いやねんけど。少しだけ一人にしてくれへん」
「では、数分そのへんにいます」
「ありがとう、、」
涼香が去ったのを確認すると、メイは肩を震わせて泣いた。これでもかと言うくらい泣いた、泣いて、泣いて、泣いて、枯れるくらい泣いた。久しぶりに泣いた。
二
「そいじゃまた明日な、真宵」
「はい」
槍士は真宵より一足先に退院することとなった。
病室を出ると夕凪家専属医のエオールがいた。
「やぁ、槍士君。君の回復力には感服だよ」
「いや、エオールさんのおかげですよ!あ、今度お礼にごはん奢りますよ!」
「ふっふ、若い子に誘われるのは悪くない気分だね。そのうちこちらからまた誘うよ」
「まじですか!じゃあ、待ってます、俺」
「それはそうと槍士君、君はまた戦場に立つのかい?」
「そうですね、俺には守らないといけないものがありますから」
「そうか、ならもっと強くならないとね。また怪我をしたらいつでも来なさい。また診てあげるから」
「はい!では失礼します」
槍士は走り去っていく。
「病院では走ってはダメなんだよ槍士君」
槍士が病院から出ると、咲夜遊が待っていた。
「体調はどうだ?槍士」
「バリバリ元気っすよ!」
「そりゃいいな。なら早速だが、お前を鍛える」
「あら、まじですか!遊さん直々にご指導を」
「残念、俺ではない」
「なーんだ、で誰ですか?」
「朝霜蘇匁亜だ」
その名を聞いた槍士は顔色を変えて歩き出す。
「俺は帰りませんよ」
「待てよ、槍士、逃げるのか」
槍士が足を止めてしかめっ面で振り向くと
「逃げてませんよ」
「それは逃げだぞ槍士、今のお前を次の戦場に連れては行けないな。弱いからだ、そんなんじゃいずれ自信の武具に呑まれるぞ」
「、、、、、」
「だんまりか、二日待ってやる。二日で答えを出すんだな。もし答えが出なかったら、学園でお留守番だな」
槍士は何も言わずに歩きだした。
三
真宵は病室から、外を眺めていた。
「綺麗な夕日だな」
コン、コン!
ノックがなり病室の扉が開けられる、そこに居たのは遊だった。
「こんにちは、遊さん」
「あぁ、大丈夫か?」
「俺はあんまりひどい傷じゃないんで、なんなら槍士先輩の方が大変なのに、あの人の方が退院が早いんですから面白いですよね」
「そうだな。槍士はバカだから治りが早いんだろ。それで話なんだが、、」
「俺はまだまだ弱いです」
真宵は遊の言葉を遮り話始める。
「夜月の力を使うのは俺にとって忌むべき事なんですが、今回それを使いました。遊さんの言う通りですね、使えるものは使う、その上で勝つ、、でもあの時、俺は動けませんでした。そして神無さんが攫われてしまいました。一緒にいた時間は短かったんですが、きっといい友達になれますよ」
「そうだな、なら私たちを利用してもっと強くなれ。そして神無とメル友になってやってくれ。彼女を夜月や宗谷から奪還しようじゃないか。」
「はい。それで遊さん、さっきから扉の向こうに誰か居ますけど、あれは誰ですか?」
「さすがだな、動物の勘なのか。紹介しよう、お前を鍛えてくれる教官だ。入ってこい」
言われて入ってきたのは、教官というにはまだ幼い金髪の少年だった。
真宵は少し驚いたが静かに笑う。
「久しぶり、白斗」
「お、おう、久しぶりだな真宵」
「やはり二人は知り合いか」
「なんだ、赤女、知ってやがったのか」
「いいや、六花を必要以上に追いかけるなんて夜月か俺たち以外いないと思ってな。それと赤女じゃなくて咲夜遊だ」
「はぁ、で約束通り真宵の特訓に付き合えばいいんだな」
「そうだな、というかえらく素直だな。俺が頼んで連れてくる時めちゃくちゃ嫌がっていたのによ」
「そりゃあ!、、まさか知っているやつとは思わなかったんだよ」
「ま、いいけどよ。後は頼んだぞ、白斗くん」
「あっ!おい!」
遊は早々に病室を去った。
残された二人に静寂が訪れる。最初に口を開いたのは白斗だった。
「あ、ユズはどうしてる?ここにいるってことは
あの後
上手く行ったのか?」「うん、今は一緒に夕ヶ丘学園に住んでる。今度会ってやってよ、きっとユズも喜ぶから」
「そうか、良かった」
一旦、話が終わり、また静寂が訪れる。
「あー、そうだ。俺もう行くわ!まぁ、明日から特訓だからよろしくな」
「あ、うん!ありがとう白斗」
「良かった、、、」
白斗は病室を去って行った。