第58話 情報

文字数 905文字

若者がシーバを追って走り去っていったことを確認すると一息ついてから思考する。

(敵の情報がいる、操られている若者に聞くか、それが一番早い、しかし嘘をつく可能性がある。そうなってしまえば俺たちはルール上、死は免れない。まずは順番に一人ずつ個室へと確保して聞き出すか、、いやそれだと時間は限られる、仮に十人を一人ずつ個室に連れていく、これは現実的ではないな。なら他のここにいる若者から情報を聞き出す、あの十人の顔は頭に入っている、それ以外の客から情報を手に入れることも可能か。これなら時間はかかるがリスクは少ない、しかしもし操られているのが十人以上だとしたら。それも考慮した上で警戒しつつ聞き込みをするか、それまでシーバがもつのかどうか。とりあえず急いで聞き込みだな)
 
フィはゲーム機の影から出て、若者へと聞き込みを開始する。
苦戦するかに思われたが案外あっさりと情報は手に入った。
ある若者に聞いた話ではこうだった。
 
(ん?あぁアイツら借金あるとか言ってたな。っんでこの店の高利貸し、シファさんに金借りてるんだとよ、それであいつらはシファさんの奴隷ってわけ。バカだよね、遊びすぎたんだよアイツら、俺くらい適度に遊んでる方がいいんだよ。あ、そういえば、ここで金借りて返せなかったりしたら地下に連れて行かれるって噂があって、シファさんは奴隷の働きぶりをみて、地下に連れていくらしい。実際俺もシファさんに連れて行かれる奴を何度も見たことがある。多分金を借りたら終わりだなあれ。あんたも気をつけなよ)
 
「敵の名前はシファか、小柄な男だと聞いた、そんなやついくらでもいるが、まずはそいつを見つけるか」
 
フィは動き出すと、目の前をシーバが横切った。
 
「おう!終わったか!」
 
「あぁ、小柄な男で名前はシファという名だ」
 
「少ない情報だが、小柄な男ならさっき地下に行くのを見たぜ」
 
(地下か、行ってみるか)
 
「すまん、シーバもう少し耐えてくれ」
 
「おうよ!できるだけ早くな!」
 
フィは地下への階段を見つけると側にいたスーツの男を気絶させると階段を駆け降りた。
 
「な、なんだここは!?」
 
フィは驚愕した。そこは地下格闘技の会場だった。
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

夕凪糸音(17)


本作の主人公

殺し屋異能一家夕凪家の末っ子。

四年前ある事がきっかけで夕凪家から出て行く。

理由は覚えてないそうだが人殺しはもうしないと決めているそうだ。

学園に通う数ヶ月前、夕凪家当主である夕凪志貴に倒れているところを発見され保護される。

志貴に再開するまでの四年間の記憶がない。

記憶を失っているからなのか静かで冷静沈着。


ツグハ(25)


夕凪家に仕えているメイドさん。

何でもこなして万能なメイドさんだが実は少し抜けている。

休みの日はいつも何しているか誰も知らない、謎多きメイドである。

雷々メイ(17)


夕凪学園の糸音のクラスメイト

活発で正義感に溢れた関西弁の女の子

あんまり考えなしで行動しがち、誰とでも仲良くなれる性格である。


異については体内から電気を放出しそれを自在に操れる。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み