第23話 Castle Made of Sand
文字数 1,054文字
「さて、お待たせしました。こちらも殺りましょうか。あら?」
涼香は一歩踏み出そうとしたが足が動かなかった。自身の足を砂の手が掴んで離さなかった。
「言った筈だ、砂に変え操れると」
次の瞬間、地面から無数の砂の槍が涼香の身体を貫く。
「うっ!そう、、でしたわね」
串刺しにされた涼香は項垂れる。
「呆気ない訳ないだろ。演技はやめろ」
すると涼香の体は氷に変わり砕ける。
「ごめんなさいね。ついつい遊んじゃう癖がありますの」
声のする方を見ると無数の涼香がシェイの後ろに居た。
「分身なら俺もできる」
シェイは砂で自身の分身を作り涼香の分身に攻撃を一斉に仕掛ける。次から次へと涼香の体は氷になり砕け、シェイの分身も同様に砂に戻り、やがて二人になる。
「面白いですわね。ならこれは?」
涼香の周りに無数の氷の刃が出現し、シェイに一斉に襲いかかる。シェイは砂でドームを作りこれを防ぐ。
「閉じこもってしまいましたわね。氷塊よ」
涼香が手を挙げるとシェイの真上にでかい氷塊を作り出し、手を振り下ろして氷塊を落とす。
砂煙が舞い上がり、視界が開けるとシェイの姿がなくなっていた。手に氷刃を作り出し、目を瞑る。
「そこですわね!」
涼香は振り向きざまに氷刃で薙ぎ払う。シェイは既の所で交わして後退するが間髪入れずに間合いを詰める涼香。涼香の次々とくる追撃を交わす。
「どうしましたの?貴方は剣術はできないのかしら」
冷気と剣気が混じり合った氷刃がシェイを追い詰める。
「くっ!さすがに強いな。だが!」
シェイは氷刃に手をつきだして掴み取る。
「!?」
その瞬間氷刃は砂塵に変わり、何かを察した涼香は後退する。
「危ないですわね、もう少しで砂に変えられるところでした。さてやはり異能力者同士の戦いは面白い。もっと見せてくださいな、砂の力を!」
「なら見せてやるよ、ちょっと待ってろ」
シェイは再び地面に手をつくと目を閉じる。
「ん?一体何をしてくださるのかしら?」
すると地響きが鳴り砂が蠢き形を形成していく。数分すると涼香の前に、砂の城が完成した。そして玉座らしき場所にシェイは座っていた。
「待たせたな。少し時間はかかったが、これが俺の最大の大技だ。俺は動けないが城が俺の手足となり武器となる」
「ククククク!!すごいですわね!面白い力!時間はかかって即席の戦闘ではまず使えないでしょう。ですが攻撃、防御共に最強ということでしょうか!城と戦うなんて初めてですわ!さて、どう攻略しましょうか」
涼香は不敵に笑い城を見据える。