ー3ノ4ー

文字数 645文字





背後の声。

その存在。




振り返ってはイケナイ。



返事をしてイケナイ。



何のリアクションもとってはイケナイ。




そういう代物。

気配で分かる。



背後でよかった。



よかったのか?

見えたらコワイ。



目視はしていない。

「目で持って行かれる」






だが、視える。

視えるのだ。

ミえる、見える。



肉眼で見なくても

視える。



コワイコワイコワイ。




戦国時代の合戦で。

武将が着るような鎧を着ている。




鎧からしたたるのはー

血か。

返り血か。

血の飛沫しぶきか。

        血。ポタ、り。

     血。

血、、、、



ポタ・・・リ。

ポタリ。 



鎧から血が、

垂れ。



床にポタリ。

落ちるのが見えた。




垂れた血が

床に落ちるたび。



ポタリ。



音が頭の中で大きく響き駆け巡る。



ポタリ、ポタリと。

滴したたる音で

頭の中が満ちていく。




落ちた血が鎧武者になった。



ポトリ。



鎧武者になる。



ポタリ、ポタ・・・リ。



鎧武者になった。



どんどん落ちる。

どんどん増える。




増えた鎧武者は 

自分をぐるりと取り囲んでいた。







・・・・・・

怖い!

怖い!!




悲鳴をあげてはイケナイ。




声はダメだ。



声や息が漏れそうで。

震える両手で口を必死に抑えた。

食いしばる。

顎がメリメリと軋きしむ。





視界に入れば、

目から持って行かれ。

息を吐けば、

辿って口から入り込まれる。





肉眼に映るのは、

真っ暗な深夜の武家屋敷。

床。

囲炉裏。

寝ていた布団。




だが視える。

自分を取り囲む鎧武者のー



黒い塊となった

血の鎧武者が。





「 忘れよ 」




刀を振り上げながら

背後の鎧武者が言った。




大量の刀が

一斉に振り上げられる。




!!!



血の鎧武者たちは

一斉に刀を振り下ろした。
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