ー赤3ー

文字数 527文字


 


夏休みにアルバイトをしないかと誘われた。

担当教諭の
写真の助手として。
ちょっとした雑用を、ということだった。

特に予定していることはなかった。
どちらかと言えば
夏休みのアルバイトを探そうとしていたところで。


断る理由はなかった。


高額の日給。
食事は担当教諭持ち。
当時としても破格だった。

担当教諭の誘いでなければ
不穏さを感じて断っただろう金額だ。

何よりも面白くなっていた写真。
まだまだ色々出来る。
そう思うと楽しみだった。


場所は学校の写真室ー
教諭専用の写真準備室。
写真室と現像室に繋がっている。

美大らしいといえば美大らしい。
本業のカメラマンへの
応援も兼ねた配慮だった。


元は美術関係の倉庫的な場所で。
若干の名残がある。
事務机と、本棚と。
冷蔵庫も電子レンジもある。
小振りのダニングテーブルのセットは
建築科の教諭が作ってくれたものだそうだ。

アルバイト期間になる夏休み中
教諭は
この準備室に寝泊りするという。
通学用に借りた
アパートから通ってもよかったのだが、
教諭と共に
準備室に泊まることにした。

まだ無名とはいえプロのカメラマン。
そんな話をいっぱい聞けるだろう期待。
なによりも
「学校で寝泊りする」
ワクワク感。

街からは程遠く
木々に囲まれた
この学校。

今年の夏休みに
期待で胸が膨らむ。















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