ー赤8-
文字数 308文字
写真準備室では
担当教諭が
既に現像済のフィルムを眺めていた。
今日の撮影分は
これから現像することになっている。
やや緊張した表情だったのだろう、
担当教諭に指摘された。
点けたままのTVでは
真夏の怪奇特集を放送していた。
調理室の洗い場で
たまたま聞こえてしまった
構内のどこかにある
『開かずの間』の話をしてみた。
「聞いたことないなあ」
担当教諭の表情を見るに
本当に知らないようだった。
「知ってても
教えてないかも知れないなあ」
担当教諭は笑って言った。
「信じてなくても
聞いたら、なんとなく怖いじゃないか」
そうだよね。
素振りもない担当教諭の姿に
先程まで感じていた怖さは
忘れてしまった。
TVの怪奇特集では
心霊写真コーナーになっていた。