ー赤13ー

文字数 369文字



ラジカセからは
雑音交じりの音楽が流れていた。


担当教諭の部屋に
ダニングテーブルのセットを作ってくれた時に
建築科の教諭が一緒にくれたものだった。

面倒見の良い兄貴分。
見るからに『建築』という風貌の。
二人は かなり仲がよかったようだった。



担当教諭は
注文していた印画紙を取りに
写真準備室に戻っていた。



すぐに戻ると。



数段ある
階段というにはささやかな階段を上り
扉を2つばかり開ければ
いつもの準備室で。


荷物の入ったダンボールは
さほど大きくもなく、
重さも
そこまでということもなく。






手元の印画紙を
慎重に扱いながら待つ。

昼間撮った写真。

印画紙に

じんわり・・・

と浮かび・・・


「すぐ戻るよ」


ラジカセの雑音が
更に乱れる。

半地下気味の現像室では
電波の()りは
今一つなのだろう。


乱れる雑音に交じって
流れていた音楽の背後に
なにか聞こえる。



ギ。

ギギ・・・。


錆びた鉄のような音。









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