ー赤21-
文字数 691文字
色々聞こうと思った。
それより先に
建築科の教諭が教えてくれた。
訳が分からない。
意味が判らない・・・。
発見場所の現像室。
天井の
幾つか割れていた。
床は水浸しだった。
その中に
仰向けに倒れていたのだと。
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何も置いていない棚は
最初から
無かった。
そこに
最初から無かった
何も置いていない棚の、
背後に
あった
筈
の暗幕も。
最初から
無かった。
暗幕があったと
思っていた
位置にはただのレンガの壁だけ。
古い、焼けた
授業の際
生徒が気にするかも知れないと、
焼けた跡を隠すために
暗幕を掛けた。
普段はむき出しのまま。
『 ああ、確かに。
あの担当教諭なら
気にしないかも知れない 』
暗幕を掛ける際に
建築科の教諭が手伝った、と。
ならば
間違いないだろう。
むき出しのレンガの壁。
写真の担当教諭は
気に入っていた様だった。
『 ・・・あの先生なら
そう、かも
知れない・・・ 』
古い、焼けた痕跡ー
まるでドアが焼けたようにも見えた。
実際に見た
建築家の教諭は
怖く感じていたと。
鉄錆びた扉の音がするなら
そこ
だろうか。----------------------------------
「開かずの間があるんだってさ」
調理室の洗い場で聞こえてきた話。
「開かず、ていうか
開かない、ていうか・・・」
レンガの壁に残る、
ドアの焼け跡に見えて・・・
確かに
「開かず」
「開かない」
ギ・・・
ギギ・・・ギ。
存在しない鉄の扉の音。
その音は間違いなく聞こえた。