ー赤23ノ・・・締_ズ

文字数 656文字



 

素麺(そうめん)をすする手が止まった。 

点けたままのTVでは
真夏の怪奇特集が始まった。


 あの日、担当教諭と
 一緒に観た番組だった。

全く同じ番組が。

 
これから始まる・・・


「夏だなあ、こういうTV」

 努めて明るく建築科の教諭が言う。



 アルバイトが始まったのは
 夏休みの2日目から。
 番組を見たのも2日目。
 今日は3日目になるはず。




 自分が撮って、
 あの時
 現像していた写真には
 鳥居や御堂は
 映っていない。



 なにかの影が
 カメラの前を
過ぎった
跡が
ぼんやり残っていた。
 (はず)で。




 今日は
 夏休みが始まって
 10日程になる。


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「既に『お祓い』は済ませてあります。
 ご覧になった方の中で、
 具合の悪くなった方や
 様子がおかしくなった人がいたら
 こちらまでご連絡下さい」



 司会役のアナウンサーが
 念を押すように何度も言う。
 スタジオ中に
 緊張感が感じられる映像。


 あの日と同じ
 怪奇写真コーナーが始まっていた。

 

 小さな池。
 
 鳥居。
  
 奥の御堂。
 
 扉。
  
 開きかけ、に見える。

 
 


印画紙に
浮かび上がった写真が
TVに出ている。
 
 



担当教諭が言った。

 「すぐに戻るから」

本当の担当教諭は
この時もうおらず。
本物ではない担当教諭が
すぐ戻る、と言い。


 あれは
 担当教諭

すぐに
 戻ってくる、意味じゃなかったんだ。
 

 根拠はなかった。
 ただ、
 そう、
 思った。
 


 赤い目が
 きっと戻ってくる。

 
 
 

 
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