3 『ウパニシャッド』

文字数 1,490文字

さて、『リグ・ヴェーダ』『サーマ・ヴェーダ』『ヤジャル・ヴェーダ』『アタルヴァ・ヴェーダ』の4つを本集(サンヒター)といい、時代の流れとともに、それぞれに3種の付属文献がついてくる

まずは祭式の仕方を規定するブラーフマナ(祭儀書)。紀元前800年頃を中心に成立
つづいて、人里離れた森林の中で伝授される秘儀や祭式の説明などが収められたアーラニヤカ(森林書)
最後にウパニシャッド(奥儀書)。これは前500年頃を中心に成立
そうそう、それ、ウパニシャッド、そのへんで私は挫折したんです
それって、スタート地点でいきなりつまづいたわけね
えぇ、まぁ・・・・・・

『ウパニシャッド』はインド哲学(思想)を語る上では、まさに最重要文献だろう

ちなみに、ちくま学芸文庫版(岩本裕編訳、2013)があるから、その一部を手軽に読むことができるね
『ウパニシャッド』の内容は、この世界と私の実相(真実の姿)を探究しているという点において大変哲学的であり、その思想を一言でまとめるなら、梵我一如ブラフマン=アートマンだと言われている

でた!

ブラフマンにアートマン、わけわかりません。

ブラフマンは一神教的な最高神なのか、あるいは神様ではなしに「神すなわち自然」みたいな感じなのか、つまり抽象的な宇宙の原理なのか・・・・・・

さっぱり・・・・・・

まずは最高神っぽい感じで登場するよね。

『リグ・ヴェーダ』から『ウパニシャッド』に至る過程で、最初は多神教的だったのに、いつの間にやら最高神のようなものがでてくるんだけど、その最高神もね、なぜかしら一つじゃなしに、また違う最高神がでてくる・・・・・・・いろいろ混乱してる、というか、錯綜・混沌としてるんだが、最終的にはブラフマンが台頭してくるんだ

ちなみに、このブラフマン、じつはすでに『アタルヴァ・ヴェーダ』の呪文の中にも顔をだしてるよ
と、いうことで、梵我一如、ブラフマン=アートマンって、どういう意味なんです?
先を急がず、順番にいきましょう

ちなみに『ウパニシャッド』はめちゃくちゃたくさんあり、16世紀に至ってもつくられており、200点を下らないとか・・・・・・

ので、成立年代が古く、かつ重要なものだけを集めて『古ウパニシャッド』と呼び、区別するらしいね

また、『ウパニシャッド』というタイトルの意味だが、従来はね、「近くに坐る」、つまり「師から授かる秘密の教え」だろうと考えられてたんだが、最近はね、そうではなく、瞑想法ウパーサナーからきてるんじゃない? という説が有力になってきたらしい

わかりました。

で、内容のほうは?

さっきも言ったとおり、『ウパニシャッド』はたくさんあるから、じつは内容も一枚岩じゃないんだよ。

そこで、だ。

『ウパニシャッド』に登場する2人の人物、こう言ってよければインド最古の哲学者ってことになるんだろうけど、ウッダーラカ・アールニヤージュニャヴァルキヤを取り上げたいと思う。

この2人の哲人を通じてね、『ウパニシャッド』の思想を垣間見てみようじゃない

ウッダーラカ・アールニ? ヤージュニャヴァルキヤ? 聞いたことありませんね

相当マニアックになってきたけど、いいじゃない。

日本人の知らないインド! って感じでね

仏教はいつでてくるんですか?
それはまた後で話すけれど、仏教なんて、基本インドじゃマイナーなんだよ
え?

知らないの?

仏教徒なんて、インドじゃ1%くらいだよ(2001年国勢調査)

は? どういうこと?
知らなかったんだ

[参考文献]

・『原典訳 ウパニシャッド』岩本裕編訳、ちくま学芸文庫、2013

・前田専学『インド哲学へのいざない』日本放送出版協会、2000

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登場人物紹介

デンケンさん(49)・・・仙人のごとく在野に生きたいと思う遊牧民的自由思想家

釈愛理(45)・・・真宗大谷派のギャルな御院家さん


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