第24話(3) 決意を新たに
文字数 2,033文字
「さあ~どんどん食べや~!」
武が料理を差し出す。永江が首を傾げる。
「カレー?」
「そうや! カレーライスや!」
「おかしいな、ここは寿司屋ではないのか?」
「うちはポリバレントな寿司屋を目指してんねん!」
「ポリバレントってそういうことじゃないと思うけど……」
武の言葉に桜庭は苦笑する。
「うん、でも、美味しいよー」
「せやろ?」
池田の感想に武は満足気に頷く。緑川が呟く。
「確かに美味しいです。ですが、この調子だと、秋魚の代で『武寿 し』は店じまいになりそうですかね……」
「な、なんちゅうことを言うねん!」
「冗談ですよ」
「おのれの冗談はシャレにならんときがあるねん!」
「そうですか、今後気をつけます」
「頼むでホンマ……」
「しかし、今日の練習で分かったけど、監督さんは本格的に新フォーメーションを導入するつもりのようだね」
「そうだねーキャプテンの見解はー?」
桜庭の言葉に池田は頷き、緑川に話を振る。緑川は水を一口飲んで答える。
「……戦い方のバリエーションを増やすのは良い考えだと思います。それをモノに出来るかどうかは私たち次第ですが」
「どうなっても四人はレギュラー当確だからね、羨ましいよ」
「いやいや、未来ちゃんも全然あるでしょうー?」
「そうかな? まあ、頑張るよ」
池田の言葉に桜庭は笑顔を浮かべる。武が頷く。
「その意気やで! どんどん食べや!」
「い、いや、一皿で十分だから……」
「レギュラー当確か、そうは簡単にはいかないだろう……」
「さすが、副キャプテンは冷静ですね……」
永江の呟きに緑川はふっと笑う。
⚽
「『サッカーCAFE&BAR カンピオーネSENDAI』……こういうお店があるとは存じ上げませんでした」
「あの監督の店よ。今日は店番じゃないみたいだけどね」
神不知火の呟きに菊沢が答える。石野と谷尾が反応する。
「え⁉」
「マジかヨ⁉」
「嘘ついてもしょうがないでしょう……美花とこの間も来たのよ」
「そうですか、小嶋さんと……」
「ふ~ん?」
神不知火が頷き、石野がニヤニヤとする。菊沢がムッとする。
「ウチの分、成実のオゴリね」
「な、なんでそうなるし!」
「なんとなくムカついたから」
「り、理不尽じゃね⁉」
「しかし、良い雰囲気のお店だね……今度はファンの子たちを連れてきてあげようかな」
松内が店内を見回して呟く。谷尾が笑う。
「大勢連れてきたら、監督サン喜ぶんじゃネ?」
「そうかな?」
「ああ、サービスしてくれると思うゼ?」
「サービスとは?」
「メイド服姿で接客するとかナ?」
「ふむ、それはなかなか興味深いね……」
「本当にその恰好したらマジウケるし。マッチ、画像送ってよ」
「本当にそういう恰好をしてくれたらね」
石野のお願いに松内はウインクする。
「そういうコンセプトのお店じゃないと思うけど……」
「脇中さんは冷静ですね」
神不知火が脇中の呟きに反応する。脇中が慌てる。
「い、いや、ごめん、私は単に空気が読めないだけだから」
「いいえ、ワッキー、ここで悪ノリしないアンタの方が正しいわ。アンタの分はヴァネが¥にオゴらせるから」
「理不尽⁉」
菊沢の言葉に谷尾が愕然とする。
⚽
「やっぱ、美味えな、ここのチャーハンは!」
「……ありがとう」
龍波の言葉に趙が言葉少なにお礼を言う。鈴森が店を見回して呟く。
「莉沙ちゃんの実家が中華料理屋さんだとは……」
「駅近の好立地、安くて美味い、『華華 』をよろしく!」
「お店の宣伝のときは言葉数が多くなりますのね……」
「ダメか?」
伊達仁の言葉に趙が首を傾げる。伊達仁が首を左右に振る。
「いえ……商売人としてはとても正しい姿勢だと思いますわ」
「子供のころから、この宣伝文句がすっかり染みついているからな」
「そ、そうなんだ……」
趙の言葉に鈴森が戸惑い気味に頷く。
「教えて欲しいっす、師匠!」
「今食べているんだけど⁉」
「あ……申し訳ないっす!」
白雲が姫藤に頭を下げる。龍波が首を捻る。
「師匠って、ピカ子はどう見ても、自分の実力を過信して暴走する馬鹿弟子タイプだろ?」
「偏見が酷いわね!」
「いいえ、あのドリブルは本当にすごいっす!」
「ピカ子さんからドリブルを学びたいと?」
「はいっす!」
伊達仁の問いに白雲が頷く。鈴森が顎に手を当てて呟く。
「流ちゃんはサイドの攻撃的ポジションで起用されることが多いから、聖良ちゃんの鋭いドリブルを身に付ければ、大きな武器さなると思うな……」
料理を食べ終えた姫藤が水を一口飲んで、答える。
「ドリブルも大事だけど、流、アンタの場合は基本的なボールタッチの技術をもっと高めることが重要よ。まずは桃ちゃんを師匠に仰ぎなさい」
「……ぷっは~! やっぱり美味しいなあ、『百目チャーハン』は!」
丸井がかなり大きい皿をドンとテーブルに置く。絶望的な顔になる白雲に鈴森が声をかける。
「こ、この食べっぷりは別に真似しねくても良いと思うよ?」
「ん?」
丸井が首を傾げる。
武が料理を差し出す。永江が首を傾げる。
「カレー?」
「そうや! カレーライスや!」
「おかしいな、ここは寿司屋ではないのか?」
「うちはポリバレントな寿司屋を目指してんねん!」
「ポリバレントってそういうことじゃないと思うけど……」
武の言葉に桜庭は苦笑する。
「うん、でも、美味しいよー」
「せやろ?」
池田の感想に武は満足気に頷く。緑川が呟く。
「確かに美味しいです。ですが、この調子だと、秋魚の代で『
「な、なんちゅうことを言うねん!」
「冗談ですよ」
「おのれの冗談はシャレにならんときがあるねん!」
「そうですか、今後気をつけます」
「頼むでホンマ……」
「しかし、今日の練習で分かったけど、監督さんは本格的に新フォーメーションを導入するつもりのようだね」
「そうだねーキャプテンの見解はー?」
桜庭の言葉に池田は頷き、緑川に話を振る。緑川は水を一口飲んで答える。
「……戦い方のバリエーションを増やすのは良い考えだと思います。それをモノに出来るかどうかは私たち次第ですが」
「どうなっても四人はレギュラー当確だからね、羨ましいよ」
「いやいや、未来ちゃんも全然あるでしょうー?」
「そうかな? まあ、頑張るよ」
池田の言葉に桜庭は笑顔を浮かべる。武が頷く。
「その意気やで! どんどん食べや!」
「い、いや、一皿で十分だから……」
「レギュラー当確か、そうは簡単にはいかないだろう……」
「さすが、副キャプテンは冷静ですね……」
永江の呟きに緑川はふっと笑う。
⚽
「『サッカーCAFE&BAR カンピオーネSENDAI』……こういうお店があるとは存じ上げませんでした」
「あの監督の店よ。今日は店番じゃないみたいだけどね」
神不知火の呟きに菊沢が答える。石野と谷尾が反応する。
「え⁉」
「マジかヨ⁉」
「嘘ついてもしょうがないでしょう……美花とこの間も来たのよ」
「そうですか、小嶋さんと……」
「ふ~ん?」
神不知火が頷き、石野がニヤニヤとする。菊沢がムッとする。
「ウチの分、成実のオゴリね」
「な、なんでそうなるし!」
「なんとなくムカついたから」
「り、理不尽じゃね⁉」
「しかし、良い雰囲気のお店だね……今度はファンの子たちを連れてきてあげようかな」
松内が店内を見回して呟く。谷尾が笑う。
「大勢連れてきたら、監督サン喜ぶんじゃネ?」
「そうかな?」
「ああ、サービスしてくれると思うゼ?」
「サービスとは?」
「メイド服姿で接客するとかナ?」
「ふむ、それはなかなか興味深いね……」
「本当にその恰好したらマジウケるし。マッチ、画像送ってよ」
「本当にそういう恰好をしてくれたらね」
石野のお願いに松内はウインクする。
「そういうコンセプトのお店じゃないと思うけど……」
「脇中さんは冷静ですね」
神不知火が脇中の呟きに反応する。脇中が慌てる。
「い、いや、ごめん、私は単に空気が読めないだけだから」
「いいえ、ワッキー、ここで悪ノリしないアンタの方が正しいわ。アンタの分はヴァネが¥にオゴらせるから」
「理不尽⁉」
菊沢の言葉に谷尾が愕然とする。
⚽
「やっぱ、美味えな、ここのチャーハンは!」
「……ありがとう」
龍波の言葉に趙が言葉少なにお礼を言う。鈴森が店を見回して呟く。
「莉沙ちゃんの実家が中華料理屋さんだとは……」
「駅近の好立地、安くて美味い、『
「お店の宣伝のときは言葉数が多くなりますのね……」
「ダメか?」
伊達仁の言葉に趙が首を傾げる。伊達仁が首を左右に振る。
「いえ……商売人としてはとても正しい姿勢だと思いますわ」
「子供のころから、この宣伝文句がすっかり染みついているからな」
「そ、そうなんだ……」
趙の言葉に鈴森が戸惑い気味に頷く。
「教えて欲しいっす、師匠!」
「今食べているんだけど⁉」
「あ……申し訳ないっす!」
白雲が姫藤に頭を下げる。龍波が首を捻る。
「師匠って、ピカ子はどう見ても、自分の実力を過信して暴走する馬鹿弟子タイプだろ?」
「偏見が酷いわね!」
「いいえ、あのドリブルは本当にすごいっす!」
「ピカ子さんからドリブルを学びたいと?」
「はいっす!」
伊達仁の問いに白雲が頷く。鈴森が顎に手を当てて呟く。
「流ちゃんはサイドの攻撃的ポジションで起用されることが多いから、聖良ちゃんの鋭いドリブルを身に付ければ、大きな武器さなると思うな……」
料理を食べ終えた姫藤が水を一口飲んで、答える。
「ドリブルも大事だけど、流、アンタの場合は基本的なボールタッチの技術をもっと高めることが重要よ。まずは桃ちゃんを師匠に仰ぎなさい」
「……ぷっは~! やっぱり美味しいなあ、『百目チャーハン』は!」
丸井がかなり大きい皿をドンとテーブルに置く。絶望的な顔になる白雲に鈴森が声をかける。
「こ、この食べっぷりは別に真似しねくても良いと思うよ?」
「ん?」
丸井が首を傾げる。