第4話 耳の痒みにムヒER

文字数 923文字

 モヒカン刈りの頭をした若者が自転車をこいでいた。老婦人がじいーと穴が開くほど見続けた。物珍しい頭髪に「バカな奴がいるもんだわ」と感心していたのだろう。
 禿げ頭が多い世の中になった、若いのに可哀そうに思うが、老齢には当たり前だ。床屋へは毎月通い目立たぬよう刈り上げてもらう。肩のマッサージのサービスや耳の掃除までしてもらうと、さっぱりして気持ちがよい。
 40年前、耳掃除のサービスで、とんだ災難が続いている。水虫菌が付いた耳搔きで垢をとったのか、穴が痒くてたまらない。微妙な場所で脳にも繋がっている。搔きすぎて皮が破れ、頭痛がし出す。
 医者に行き「この中が痒いので何とかして下さい」と神妙に頼む。表面の傷病であれば、観察もでき適切な治療もできるのだろう。小さな穴の中は、虫眼鏡で見れず、医者もヤマ勘で診断する。「軟膏を綿棒でそろりと撫で、後は我慢我慢が、解放してくれる」。大金を払うのに不満足な治療をする医者だ。
 「自分のこの痒み、分かってくれないの?」虫の気分によっては1日何回もいたずらを繰り返す。「耳を切りたい」と思うこともあるが耳朶ではなく穴だから「削る」が正しいか。
 長年この皮膚炎と付き合っている。いい加減に縁を切りたいのだが許してくれない。「そんなに愛してくれないで他の所へ行ってくれ」最近女房も耳が痒いという。
 ネット社会になり、自分の知りたいことを、パソコンなどで検索できる。しかし化け物の応用範囲は広い。取捨選択し自分の身の丈で遊んでる方が安全である。治療を尋ねると「ムヒER かゆみ・皮膚炎治療薬」が効くと回答する。待望の耳の痒みに効く薬だ。「蓋をしっかり締め容器を逆さにし、戻す。蓋を開け、たまった薬液を綿棒に滲みこませ、患部に塗布する」と懇切に説明。
 これは効き目があった。今まで試した物とダントツに痒みが止まる。「炎症を鎮めるステロイド入りで2週間以上は使うな」とある。1日、数回塗ればよい。常に耳を掻きまくっていたのが止んだ。この薬は素晴らしい、耳痒い病で悩んでいる人は大勢いるのだ。知らない人に、この情報を共有することを声を大にして宣伝したい。
ムヒは偉い。富山の池田模範堂だ。地名も名前も素晴らしい治療薬でーす。
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