第31話 ご褒美の食事

文字数 842文字

「誕生日お目出度う」と連れが車で40分かかる若松の「梅の花」へ連れて行ってくれた。
女性に人気の店で、平日のランチは女性客で満杯だそうだ。平日の12月5日なので夜のお客は少なかった。登録しておくと、誕生日会席の案内葉書がくる。3年前からこの店で祝って貰う。
昔の料亭を模したような作りである。車置きの塀の向こうに紅葉の赤がライトアップされる。冠木門を潜ると小道の両側は木々が並んで出迎えてくれる。玄関を開けると廊下の向こうは総ガラスで内庭がイルミネーションで小さな光りが踊る。待合の椅子に座り暫し眺める。
案内された部屋の前に障子ガラスがある。高さが130cmで、下60cmが透明ガラス、上70cmが障子張りである。頭を下げて部屋に入る。部屋は十畳ほどで、隅に茶釜がある。床の掛軸は「知足」と読む。ネットをみると、=老子自勝者強,知レ足者富から〕足るを知ること。身の程をわきまえて,むやみに不満をもたないこと。=という意味らしい。書院造りというのでしょうか。部屋から見る庭も風流である。和風の庭も若い家族の家には車庫のため、コンクリで固めてある。
部屋代も料金に入るらしい。そうしなければ維持できないでしょう。コース料理も職人技に磨きをかけた、少量多種類の美味が、鶴亀の陶器皿に盛られてくる。二人の写真を撮ってくれる。誕生者は白い帽子に5本ローソクの飾り物が付く。この写真が気に入っている。
食事は「結 むすび 梅」のお品書き。誕生者用らしい。「お目出度うございます」と言われた。   
   嶺岡豆腐  紅白なます  たぐり湯葉と雲丹のべっ甲あん掛け
   蛤真丈清知る仕立て  茶碗蒸し  お造り三種  ユメカサゴの道明寺蒸し
   有頭海老の天麩羅・彩り湯葉揚げ  かに甲羅グラタン  湯葉吸物
   赤飯  香の物  デザート 
琴の音をききながら、ゆったりと食べる。まさに至福のひとときである。日本料理は手が込んでいて、繊細な味わいがある。赤ワインで乾杯!水を飲む。糖尿病にはご馳走は禁物。  
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