第5話 ラティスは脆し

文字数 499文字

 東南アジアの雨林の木は育ちが早く、加工もしやすい。ラティスという仕切り板のようなモノを売っている。洒落た雰囲気を出せ、安価だし、あちこちの家で使っている。
 「人の目は、他人を牽制する」魔力を持っている。隣の風呂の窓から、裸のオヤジの目線を感じる。ラティスを買い境に建てた。これで、庭での「くつろぎの空間と時」を手に入れた。
 材木は風雨にさらすと腐れやすい。5年経つと木枠が腐り、釘もさび、ついに崩れ残骸になった。修繕もできず見栄えも悪い。「見破ったり南洋木材の正体を」日本材がいかに風土にあっているか。
 外注する無駄金もないので、板壁の自作に挑戦した。20年前、「めじろ」の犬小屋を作った時の「盟友」がいる。電気カンナに丸鋸に電気ドライバーが倉庫に「お待ちしてました」と控えていた。
 荒い杉板を束で買っても数千円と安い。木枠を作り、たてに桟をネジで固定し、桟をはさみ交互に横板を取付れば完成である。風通しも考え、目隠しの役をする。こういう板塀が昔は、方々にあった。今や、腐れないコンクリ塀が、味気なく家並みの前に立ち塞がっている。
 最近はこのブロック塀にも変化の兆しが現れてきている。
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