第10話:根拠なき熱狂と同時多発テロ

文字数 1,511文字

 アメリカでは、IT関連の仕事のおかげで「インフレなき経済成長」が半永久的に続くと思われていた。そういう話が専門家の間でも真面目に討論されアメリカ国民もそう考えた。確かにIT化が進めば、人減らしやオフィス縮小が可能になり企業のコストが削減された。さらに商品代を安く抑えることができた。

 しかも、その企業を人員整理でクビになった労働者も世の中ではIT関連の別企業がどんどん生まれ続けている。
「だから、すぐに新たな雇用にありつくことができる。」
「もし、この通りに行くなら確かにインフレなき経済成長である」
「しかし、この意見に対して警戒する経済の専門家も多かった」

 FRB「米国連邦準備制度理事会」のアラン・グリーンスパン議長は、「この頃アメリカの状況を根拠なき熱狂と呼び」日本のバブルと同種のものである可能性を警戒した。そのため、彼は、景気の過度の過熱を恐れた。その結果、アラン・グリーンスパン議長は、2001年にアメリカの公定歩合にあたるフェデラルファンド金利を上昇させた。

 一方、日本では、9月4日の朝、証券会社から伊藤栄吉に電話が入りヤフー株の気配値が182万円と安いと言われた。そこで慎重に2株成り行き買い注文を出すと364万円で買え残金が1946万円となった。その1週間後の2001年9月11日の朝にイスラム過激派テロ組織アルカイダによって行われたアメリカ合衆国に対する4つの大きなテロ攻撃「同時多発テロ」が行われた。

 1つ目はボストン発ロサンゼルス行きアメリカン航空11便は乗客81人、乗員11人を乗せ、8時頃にローガン国際空港を離陸し、ロサンゼルス国際空港に向かった。その後、11便は8時14分頃に始められたハイジャックでコックピットを乗っ取られた。11便は8時27分に進路を南向きに変えた。

 その後、8時46分にニューヨークのワールドトレードセンター・ツインタワー北棟に突入し爆発炎上した。2つ目はボストン発ロサンゼルス行きユナイテッド航空175便は乗客56人、乗員9人を乗せ、8時14分にローガン国際空港を離陸し、ロサンゼルス国際空港に向かった。8時42分頃、UA175便のパイロットは離陸直後に不審な内容の無線を耳にした。

 それがハイジャックされたアメリカン航空11便からの無線だった。その内容について管制官に報告した。しかし、それから8時46分までの間にUA1755便もハイジャックされコックピットを乗っ取られた。その後、8時58分にニューヨークへ進路を変え、9時3分にワールドトレードセンター・ツインタワー南棟に突入し爆発炎上した。

 南棟では北棟の爆発で多くの人が避難を開始したため、人的被害は北棟よりも少ないが先に突入を受けた北棟より早く南棟が崩壊した。11便とは異なり175便の突入時には既に多くの人に事態が認識されていたことから突入の瞬間の映像や写真が多数記録された。

 なお、105階に居たエーオン副社長のコスグローブが南棟が崩壊する瞬間まで911番へ電話で状況を伝えていた音声が録音されていた。この録音はザカリアス・ムサウイの裁判で証拠として用いられた。ニューアーク空港発サンフランシスコ行きユナイテッド航空93便は8時42分、乗客37人、その中に4人がテロリス、乗員7人を乗せて、滑走路の混雑で30分遅れで出発した。

 乗客の機内電話からの通報によると9時27分にハイジャックされコックピットを乗っ取られた。オハイオ州クリーブランド付近で進路を南に変え、さらに南東へ向かった。ワシントンD.C.へ向かうことを管制官に通告、標的はアメリカ合衆国議会議事堂かホワイトハウスであったと推測されている。
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