第9話

文字数 377文字

 当然ながら、好きでもない男との暮らしなど、ただ苦痛なだけで、珍しく半年以上付き合った相手だが、一緒に暮らしたのは、ほんの1週間だけ。
 私は、男の元を離れたが、地元に帰りたいとも思えなかったので、道内各地で、短期の住み込みのバイトをしながら暮らした。
 もし、心身ともに元気ならそれでよかったのだが、冬になると私はいつも体調を崩してしまう。
 バイト先に居られなくなり、函館のホテルで貯金を崩しての暮らしが始まった。
 のんびりと静養出来るのはいいが、特に知人が居るわけでもなく、孤独のあまりおかしくなりそうだ。
 冬でなければ、観光するのもよかっただろう。
 しかし、私はとにかく寒さに弱く、ホテルの部屋に引きこもって過ごしていた。
 ふと、前に住み込みバイトで一緒だった女の子たちが、SNSで元彼を検索したことがあるという話題で盛り上がっていたことを思い出した。
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