第6話
文字数 362文字
目の前のお客さんの顔を見上げた瞬間、私は暫く思考停止状態になった。
きっと、間抜けな顔で目の前のお客さんを見つめていたと思う。
財布の中を見ていたお客さんも顔を上げると、あの頃と変わらない笑顔を向けてくれた。
「久しぶり。ここで働いてたんだね」
「ええ…。佐分さん、この近くの人だったの?」
「いや、たまたま近くを通っただけだよ。今は地元を離れてるから。麻倉さん、ここで頑張ってるんだね」
話したいことならば、いくらでもある。それなのに、何故かうまく言葉が出てこない。
もう、患者とスタッフという壁もなくなったのだから、アプローチしても構わないはず。
ただ、自分からアプローチというものをしたことがなかったから、どうするべきか戸惑っていたら、佐分さんの後ろには次のお客さんも並んでいた。
佐分さんは、後ろのお客さんに軽く謝ると、
きっと、間抜けな顔で目の前のお客さんを見つめていたと思う。
財布の中を見ていたお客さんも顔を上げると、あの頃と変わらない笑顔を向けてくれた。
「久しぶり。ここで働いてたんだね」
「ええ…。佐分さん、この近くの人だったの?」
「いや、たまたま近くを通っただけだよ。今は地元を離れてるから。麻倉さん、ここで頑張ってるんだね」
話したいことならば、いくらでもある。それなのに、何故かうまく言葉が出てこない。
もう、患者とスタッフという壁もなくなったのだから、アプローチしても構わないはず。
ただ、自分からアプローチというものをしたことがなかったから、どうするべきか戸惑っていたら、佐分さんの後ろには次のお客さんも並んでいた。
佐分さんは、後ろのお客さんに軽く謝ると、