第2話

文字数 377文字

 最初に彼を意識し始めたのは、たぶん同い年だと知った時だろう。
「えっ…佐分さん、24歳なんですか!?」
「そうですよ。麻倉さんも同い年でしたよね」
「見えない…」
「あはは、昔から老けてるって言われますよ」
「ぞうじゃなくて、落ち着いてるなぁ…って」
「ありがとう。褒め言葉だと受け取っておきます」

 佐分さんは、いつだって優しかった。
 冷静に考えたら、それは単に仕事だからなのに。
 しかし、私が情緒不安定になると、釣られて不機嫌になるような、過去の男たちとは正反対の佐分さんに惹かれるのも無理はない。
 この人は、まだ若いのにダメな私のことも受け入れてくれる…そんな勝手な思い込みをしてしまった。
 グループセラピーというだけに、患者さんは他にも数人居たのだが、佐分さんも、やはり同い年ということもあって話しやすいと感じたのか、他の患者さん以上に近い距離で接してきた。
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