第16話
文字数 371文字
全く抵抗がなかったといえば嘘になる。
しかし、10年も片想いを引きずって、やっと再会して、ここで変に意地を張って後悔したくないと思った。
バーを出て、エレベーターで私の滞在している部屋に向かう途中、佐分さんは、まるで恋人同士のように、繋いだ手をコートのポケットに入れていた。
もうすっかり馴染んだ部屋に着き、
「あー…部屋で飲み直す?」
動揺を隠すように言ったが、黙らせるかのように強引に唇を奪われ、そのまま縺れ合ってベッドに倒れ込んだ。
やはり、いつもの私ではなくなっている。
自分のことは棚に上げて、相手の気持ちを試すことしか出来ず、嫌になればすぐに投げ出すような恋しか出来ない私は何処かへ消えてしまった。
セックスひとつにしても、あれは嫌だ、これも嫌だと文句ばかり言っていたのに、今の私には何も言えない。
これが惚れた弱みなのだろうか。
しかし、10年も片想いを引きずって、やっと再会して、ここで変に意地を張って後悔したくないと思った。
バーを出て、エレベーターで私の滞在している部屋に向かう途中、佐分さんは、まるで恋人同士のように、繋いだ手をコートのポケットに入れていた。
もうすっかり馴染んだ部屋に着き、
「あー…部屋で飲み直す?」
動揺を隠すように言ったが、黙らせるかのように強引に唇を奪われ、そのまま縺れ合ってベッドに倒れ込んだ。
やはり、いつもの私ではなくなっている。
自分のことは棚に上げて、相手の気持ちを試すことしか出来ず、嫌になればすぐに投げ出すような恋しか出来ない私は何処かへ消えてしまった。
セックスひとつにしても、あれは嫌だ、これも嫌だと文句ばかり言っていたのに、今の私には何も言えない。
これが惚れた弱みなのだろうか。