第18話

文字数 289文字

 翌朝、目覚めると、佐分さんは既に服を着て、帰る支度をしていた。
「もう行くの?」
 眠い目をこすりながら尋ねると、
「ああ。飛行機、間に合わなくなるから」
「空港まで送る…」
「いいよ。もう、結構ギリギリだし。慌ただしくてごめん。じゃあね」
 そう言って微笑むと、佐分さんは部屋を出ていってしまった。
 朝だからかもしれないが、何の余韻も残さないんだな…と、少し不満を感じたものの、なんだかんだで満たされていた。
 気をつけてね…そんなメッセージを送ろうとしたが、やめた。
 私の悪い癖だろうか。
 自分から追いかけたくない…ましてや、ちゃんと好きだと言われていないだけに、尚更そう思ってしまう。
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