第12話

文字数 363文字

「ええ。あちこちでバイトをしていたけれど、今は冬で体調が悪いから、ホテル暮らししてるの」
「へぇ!優雅だね!函館かぁ…行ったことないんだよね」
「じゃあ、来る?(笑)大阪からは、飛行機で一本のはず」
 勿論、冗談のつもりだった。
「そうか…。函館にはいつまで居るの?麻倉さんの予定は?」
 まさかの反応に、どう返していいのか戸惑いつつも、
「今は仕事も休んでいるから、予定らしい予定はないし、まだ暫くは此処に居るつもり」
「じゃあ、次の週末に行こうかと思うんだけど、会える?」
 あまりにも急な展開だ。
 10年近く会えなかったのに、こんなことってあるだろうか。
「私は大丈夫」
「じゃあ、来週土曜に行くよ。楽しみだなぁ」
 さっきまで、忘れられたと絶望して自棄酒を飲んでいたのに、人生って本当にわからない。
 しかも、次の土曜は私の34歳の誕生日だ。
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