第4話

文字数 334文字

 もともと、佐分さんは好みの顔というわけでもなければ、ましてや私はかなりの面食いである。
 それが、元々は好みの顔でもないのに、顔も声も全部好きになるなんてことが本当にあるのだと初めて知った。
 どこまであざといのかと自分でも呆れるが、セラピーでは、輪になって手を繋ぐことがあるので、佐分さんの隣りに居たら手を繋ぐこともできる。
 こんなの、ただの気持ち悪い女かもしれない。
 しかし、そう判っていても、あざとい言動をやめられなかった。

 私のほかにも佐分さんを好きな女性がいて、彼女が告白しても、佐分さんは職業柄、患者さんとは付き合えないという理由で振られたという。
 確かに、患者との恋愛は御法度かもしれない。
 それなのに、何故か、私が相手ならば振られないような気がしていた。
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