第9話

文字数 623文字

彼の仕事は週六日勤務で、時間は15時から23まで。休みは火曜日だった。
 
私の方は週休2日で9時から18時まで。土日祝日はお休み。

彼と交際するようになって、私の生活スタイルも変わっていった。

土曜日には私が彼のお店がある駅まで電車で行き、昼間から路地裏の場末のホテルに入って(はじめのころはここでするの?と思ったけど)、服を脱ぐなりベッドで情熱的に抱き合って帰って来たこともあった。もちろん付き合ってすぐではない。すぐの頃は彼の高まりが押しあてられ、スリルの予感が体を走り私の空想を荒々しくかき立てるくらいなものだった。

月に2回は彼が夜うちに来て、私を抱き寄せて泊まらずタクシーを拾って帰って行った。そしてそういうのにもいいかげん飽きてきて、彼が無言でジーパンのファスナーのボタンに手を伸ばし、ボタンをはずすと、私の手を中にすべりこませた。私はそれをしっかり握りしめ、彼のペニスが大きくなるのを感じ、彼が私をじっと見つめるのを眺めた。

そして、熱く長い口づけを交わし、彼の身体が私に押しつけられてきた。

彼が私の部屋に来る時は決まって大入り手当が入った夜だった。

彼が結婚しているとまだ知らなかった頃は、私はそれさえ待てなくて、早く彼に会いたくて会いたくて、今日もお店がお客さんで満杯になりますよいに。彼がうちに来ますように。

Love Theme from St. Elmo's Fire を聴きながらそう神さまにお願いしたなんてこともあったかもしれない。
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登場人物紹介

今の私

あの頃の私

そして、あの頃の彼

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