第11話

文字数 477文字

私は彼を愛している。もう止められない。でも大事なことを忘れてはいけない。彼の感心は単に自分の願望をみたしたいだけ。本音はベッドをともにしたいだけ。そのうちきっと興味をなくすんだわ。そんなふうに考えて平常心を取り戻そうとしたが、無理だった。彼と一緒にいたいという気持ちの方が上まわった。

私は彼に支配されてしまった。いったい何よ、これって?彼を愛せば愛すほどにその支配力は増していくの。

しかし、彼もまた私といると、心地よく感じていたはず。もしかすると、私のとりこになるかもしれない。

だって、私は自分があんなことをするなんて、想像もつかなかった。けど、この役目はすごく楽しくもありまた気に入っているのよ。何ていうのかなーーあの瞬間が、私の人生でもっとも心が温まるひとときだったんじゃないかしらって。私なら彼が今まで体験しなかったものをあげられる。真実の愛にあふれた交わり。彼が長い間心に秘めた夢を叶えてあげられる。

そうよ、私を手放したくなくなるわ。

お互い、身体だけでなく心もさらけ出していた。

私にこんなことをさせ、こんなふうに感じさせた男性は彼しかいなかった。
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登場人物紹介

今の私

あの頃の私

そして、あの頃の彼

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