第5話

文字数 457文字

3日が経っても、彼からの連絡がなかった。私は勤め先でお昼のお弁当を箸でつつきながら、彼のことを考えた。

そういえば何かで読んだことがある。女性に電話番号を聞いてかけるのにベストなのは何日目か。

彼もそんなふうに考えて、かけるタイミングを見計らっているのかな、なんて、彼から電話がかかってこないからといって、意外に思ったり気落ちしたりしなくてもいいはずなのに、実際はヒステリー寸前なくせに、平気なふりをしていたの。

ああ、どうして電話してきてくれないのかしら。ひょっとして電話番号を書き間違えたかな。それとも、なくしたのかも。いいえ、もしかすると、もろくでもない女に言いよってるのかもしれない。

私の心の中で、諦めと熱情がせめぎ合っていた。

はじめは気付かなかったが、現実に戻ると、「なんだかばかみたい。おとぎ話を信じている女の子じゃあるまいし」私は声に出してぶつぶつと口ずさむ自分に気づいた。そして自分がいったいどこまで少女のような気持ちに浸っているのか、うんざりしたようにため息が出た。でも、今ではその日々さえも懐かしい。
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登場人物紹介

今の私

あの頃の私

そして、あの頃の彼

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