第15話
文字数 455文字
私の内に大きな母性がひそんでいるのだろうか?それとも、彼が想像力をたくましくしているだけなのだろうか、彼はずっと私ではない誰かを想像していたのかしら?もしくは、遥か昔に失ってしまったもう一方の片われを求めているのだろうか、むろん知るよしもなかったが、実在しているのは私なのに、もう1人の私が存在しているようだった。
毎晩、彼のことを考えて長い時間、ねつけなかった。結局、傷つくことになるのは目に見えているけど、あえてその危険を冒す価値はあるだろうか?さまざまな疑問が頭に浮かぶばかりで、解答は何も浮かばない。
正直にいうと、奥さんがうらやましかった。二人きりで暮らす恋人たちの愛の情景。これこそが愛の理想像だと、まだ恋も知らない少女であった私はよく考えていたものだった。
そしてどうすべきか考えていると、彼の顔が浮かびあがり、やがて唇と唇が重なって、自分でも思いがけないその感覚にうながされ、いつしかためらいをわすれ、恍惚とした表情になって、あの人のことを考えながら、みずからの手を使って達していたのを覚えている。
毎晩、彼のことを考えて長い時間、ねつけなかった。結局、傷つくことになるのは目に見えているけど、あえてその危険を冒す価値はあるだろうか?さまざまな疑問が頭に浮かぶばかりで、解答は何も浮かばない。
正直にいうと、奥さんがうらやましかった。二人きりで暮らす恋人たちの愛の情景。これこそが愛の理想像だと、まだ恋も知らない少女であった私はよく考えていたものだった。
そしてどうすべきか考えていると、彼の顔が浮かびあがり、やがて唇と唇が重なって、自分でも思いがけないその感覚にうながされ、いつしかためらいをわすれ、恍惚とした表情になって、あの人のことを考えながら、みずからの手を使って達していたのを覚えている。