第22話
文字数 881文字
ついに彼から別れを切り出された。終わりにしたいと言われた。彼の目には感情がこもり、その決意の固さを示しているようだった。こんな顔を見るのは初めてだった。私の中の激しい苦痛と怒り、そしてフラストレーションが爆発し、部屋中に涙があふれるような気がした。彼の言葉は聞こえたし、頭では理解していた。しかし、その言葉にうろたえた。心は聞くことを拒み、すぐには答えずに、私は櫛を手に取り、鏡の前で髪をとかし始めた。テレビからプリセスプリンスのDiamondsが流れてきて、鏡の中のテレビに視線を向けた。けど、うつろに開かれた目は何も見ていなかった。彼はテレビを見つめるふりをしながら、目の隅からためらいながら私を見ていた。彼を止める方法は一つしかなかった。疲れたような抑揚のない声で、「時間が欲しい」と私は言った。彼はその問いには答えず、テレビから目を離し、再び私に向けて決意の眼差しを送った。ただ私をじっと見つめており、その表情に私は凍りつくような思いがした。
彼がそばに来て、彼の手が私の肩に置かれたのを感じた。
はりつめた緊張を解いた。
「じゃあ」
「ねえ、お願い」私は彼の手にしがみつきながら、続けるように彼を駆り立てた。見下ろしている彼の顔はよそよそしい哀れみの表情とも言えるものだった。私が被害者であるかのような空気が流れていた。「もう行かないと」そう彼が言い、私は何か言うと泣きだしてしまいそうだった。ゆっくり頭を頷かせると、彼の視線を避けたままこみあげてくる悲しみを、唾液といっしょにのみ下した。
事の結末を考えずに欲望に身を任せたのは私だ。あれほど傷つきながら寝ても覚めても求め続けたではないか。この言葉以上にもっと恥ずかしいような幻影までが、同じく私の心に戻ってきた。そんな風に思いながら涙が喉を締めつけたが、耐えた。
彼は玄関に向かい、靴を履いてドアに手をかけると、別れの挨拶をするようにちらりと見た。そしてドアを開けると、私が口をきく間もなく、行ってしまった。私にとって彼がどういう存在であろうとも、もう二度と会わないと思うと、泣き出さずにはいられなかった。
彼がそばに来て、彼の手が私の肩に置かれたのを感じた。
はりつめた緊張を解いた。
「じゃあ」
「ねえ、お願い」私は彼の手にしがみつきながら、続けるように彼を駆り立てた。見下ろしている彼の顔はよそよそしい哀れみの表情とも言えるものだった。私が被害者であるかのような空気が流れていた。「もう行かないと」そう彼が言い、私は何か言うと泣きだしてしまいそうだった。ゆっくり頭を頷かせると、彼の視線を避けたままこみあげてくる悲しみを、唾液といっしょにのみ下した。
事の結末を考えずに欲望に身を任せたのは私だ。あれほど傷つきながら寝ても覚めても求め続けたではないか。この言葉以上にもっと恥ずかしいような幻影までが、同じく私の心に戻ってきた。そんな風に思いながら涙が喉を締めつけたが、耐えた。
彼は玄関に向かい、靴を履いてドアに手をかけると、別れの挨拶をするようにちらりと見た。そしてドアを開けると、私が口をきく間もなく、行ってしまった。私にとって彼がどういう存在であろうとも、もう二度と会わないと思うと、泣き出さずにはいられなかった。