第13話

文字数 593文字

もし時をさかのぼって修正できるなら、あなたと関係をもたなかったか……。

当然ノーと言うでしょうね。

あなたを私の人生から消すなんてことはできないわ。私は、またあなたに会いたいに行く。だってかけがえのない人生で出会ったんですもの。 

やり直すくらいなら、最初からやらない方がいいわ。

自分に嘘はつけないでしょう?違う?

「僕もまた君に声をかけるよ」と彼も言った。「君は僕から離れられないし、僕も君から離れられない」

「嘘、あなたは私から去ろうとしたじゃない」私は感情を抑えて言った。

「僕は君との関係が深いものになったことに困惑したんだ」と彼は言った「だから距離をおこうとしたんだ。ほんとうだ信じて欲しい」

「そうね。あなたがそう言うのなら、そうかもしれない」としか私には言えないけど、彼がまだこんなにも求めてくると知って、悪い気分ではなかった。が、まだ心の迷いは消えなかった。でも私は冒険や興奮が欲しかった。無意味に生きるくらいなら、一種の狂気と永遠に続くいらだちの中で生きられるだけ生きたほうがいいこともある。

彼は手を伸ばし、私の目の端にかかっていたほつれ髪をそっと元に戻した。

彼は予想通りの反応をしている。

私としてはそれは、計画どおりだった。

彼は耳たぶの下に鼻を押しつけ、頬に唇を寄せてささやいた。

「愛してるよ」

お互いを見つめ、私は、胸のふくらみを彼の胸に押し当てて、彼の内部へと身を沈めていった。

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登場人物紹介

今の私

あの頃の私

そして、あの頃の彼

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